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令和4年12月定例会(第7日) 名簿
令和4年12月定例会(第7日) 本文

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  1. 福岡県議会 2022-12-07
    令和4年12月定例会(第7日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い代表質問を行います。順次発言を許可いたします。花田尚彦君。(拍手) *花田議員質問 2 ◯十三番(花田 尚彦君)登壇 皆様、おはようございます。自民党県議団の花田尚彦でございます。このたび、会派を代表いたしまして質問に立つという大変光栄な機会をいただきましたことは、ひとえに日々御指導いただいております自民党県議団藏内勇夫相談役松本國寛会長をはじめとする諸先輩方の御配慮のおかげと、心から感謝を申し上げます。また、日頃から御支援いただいております地元の皆様にも改めて感謝を申し上げ、福岡県の発展のために、しっかりとただしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。  令和四年の暮れも押し詰まってまいりました。本年も余すところあと僅かとなり、県議会と五百万県民にとっても、この一年を振り返る師走の時期を迎えています。本年、県民がその生活を営む上において大きな制約を受けたことの一つが新型コロナウイルスであったことは間違いありません。感染の拡大と収束を繰り返し、言うまでもなく、いまだに県民の生活と安全を脅かし続けているところにそれがうかがえます。本年はこれに加え、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的なエネルギー価格や物価の上昇のほか、記録的な円安となっております。日米の金利差を背景に、円相場は一時、平成二年以来の水準となる一ドル百五十円台まで値下がりしました。円安により過去最高益を記録した企業がある一方で、資源価格の高止まりによる調達コストの大幅な上昇、輸入品目の値上げは、我々の県民生活に大きな影響を与えています。行き過ぎた円安は経済に悪影響を与えるということが改めて認識されることとなりました。また、足元の消費者物価指数は引き続き上昇しており、価格変動の大きい生鮮食品を除く十月の総合指数は前年同月比で三・六%上昇し、第二次石油危機後の一九八二年二月以来、何と四十年八か月ぶりの高い上昇率を記録しています。その中身を見ますと、物価の上昇を牽引しているのは食料とエネルギーでありまして、生鮮食品を除く食料は五・九%と四十一年ぶりの水準、エネルギーは一五・二%。このうち電気代が二〇・九%、都市ガスが二六・八%と、家計を直撃する生活必需品の価格上昇が目立っています。また、十月の値上げ品目数は六千七百品目に上り、家計への圧迫は一段と強まっているところです。海外に目を向けますと、欧米では各国・地域の中央銀行がインフレを抑制するために、相次いで金融の引締めの動きを強めております。中国では不動産市場の低迷とゼロコロナ政策による経済の下振れなど、今後、世界経済の後退が懸念されているところです。このように世界経済の見通しが不透明な中、エネルギー価格の上昇、物価高騰、円安の影響は、県民の家計や事業者の業績を直撃し、多くの人々が経済的負担を強いられた年になりました。  こうしたところから、行政に対する県民の経済対策への期待や渇望とでも言うべき切実な思いは膨らむばかりであり、私もそのことを実感する一人であります。これから年末及び年度末を迎えますが、県民や事業者の皆さんの中には無事に年を越せるだろうかと、不安な日々を送っている方もいらっしゃいます。今こそ、しっかりとした県の対策を示し、県民の皆さんに日々の生活に対する安心を届けるべきであります。こうした中、今議会において、県は緊急の地域経済への手当てとしての商品券や食事券の発行、さらに新型コロナ季節性インフルエンザの同時流行に備えた医療提供体制の強化などの措置が盛り込まれた補正予算を提案されました。これはまさに、経済対策、コロナ対策を両輪とした、ウイズコロナにふさわしい予算であると考えております。  そこでまず、この補正予算案を知事はどのような考えで編成されたのかお尋ねします。  折しも政府は、これまでの累次の対応に加え、間を空けることなく、先々を見据えた力強い対策を講じるという考えの下、一般会計総額で二十九・一兆円、財政投融資や地方の歳出を含めた財政支出の規模で三十九兆円、民間支出などを含む事業規模七十一・六兆円となる追加経済対策を閣議決定し、その財源の裏づけとなる補正予算は今月二日に成立したところです。この中には、エネルギー及び物価高騰対策のみならず、経済活性化新型コロナウイルスへの対策も含まれており、その内容、規模については大いに評価しております。  そこで、我が県はどうするのか。知事は常日頃より、県民をど真ん中に置いた県政をうたわれていますので、県民や事業者の悲痛な声は届いているかと思います。きっと県民に寄り添った対策を鋭意検討されているのではないでしょうか。先ほど申しましたとおり、県民は待っています。特に長引く円安、物価高騰が多くの中小企業の経営を苦しめています。一刻も早く県民の目線に立って、構造改革を含む小手先の対策ではない未来への投資、県民生活に安心を届ける政策を行う必要があると考えます。  そこで伺います。知事は、国の経済対策を盛り込んだ本県の補正予算についてどう対応されるつもりかお示しください。  この項の最後に、キャッシュレス決済の促進についてお伺いします。新型コロナの影響もあり、この数年でキャッシュレス決済はより身近なものとなってきました。しかしながら、海外に目を向けると、海外の主要国では既に広く普及している一方、日本ではその足元にも及ばないほど遅れを取っているのが現状です。このままでは日本が世界の潮流から取り残されるのではないかと強く危機感を抱いているのは私だけでしょうか。国は、デジタル田園都市国家構想の基本方針の中で、キャッシュレス決済の拡大が、事業者にとっては決済関連業務のデジタル化による効率化、付加価値向上につながり、消費者にとっては利便性向上による消費活性化へとつながることを述べています。さらには、ポストコロナインバウンド回復等による地域活性化に資する取組だと位置づけております。また、今回の経済対策においても、デジタル田園都市国家構想の具体化を推進することとされているところです。このような中、今回提案されています補正予算を見てみると、地域商品券の発行が盛り込まれていますが、発行規模百八十八億円のうちキャッシュレスは百十九億円。この差額がいまだにキャッシュレスに対応していないということになります。キャッシュレスは県民の利便性の向上はもとより、事業者にとっても現金管理の負担が軽減されるほか、顧客の購買データ等をマーケティングや経営管理に生かせるなど、両者にメリットがあると考えます。まだ県民や事業者の中には、キャッシュレスに二の足を踏む方もおられます。せっかく地域商品券の発行を行うのであれば、この機会を捉えて、事業者と県民の双方で、よりキャッシュレスが進む環境をつくっていくのが県の役割ではないでしょうか。私の地元でも、実際にキャッシュレスを導入した事業者や商工会から、煩雑な手続を省略できたと、大変好評を得ています。また、利用した住民からも、意外と簡単だったとの声を頂戴しました。  そこで知事にお伺いします。地域商品券キャッシュレス決済の促進に当たって、これまでどのような取組を行われたのでしょうか。また、今後どのように取り組むつもりなのかお答えください。  次に、新しい福岡県総合計画についてお聞きします。今年三月に策定された新たな福岡県総合計画は、服部知事が手がけた初の県政振興のための総合計画であり、言わば服部県政の指針とされるべき計画と言えるものであります。今年度から令和八年度までの五年間を計画期間とする本計画は、世界を視野に、未来を見据えて施策を展開し、九州のリーダー県としてさらに成長発展していく姿を描いているとされています。策定に当たっては、桐明和久議長をはじめ七名の県議会議員も参画する総合計画審議会での議論をベースに、市町村や県民、そして県議会からの幅広い意見を勘案しながら、知事の下、検討を重ねた、まさに服部カラーあふれる計画であると聞き及んでいます。しかしながら、もちろん計画は策定することがゴールではありません。計画の実現に向け、精力的に取り組むことが必要であることは言うまでもありません。服部知事が初めて編成した本格予算である令和四年度当初予算では、新しい県政へ一歩を踏み出す予算として、前年度よりも七十件以上多い二百二十二件の新規事業が盛り込まれました。一方、本県議会においても、三つのチャレンジの一つ、ワンヘルスの推進について、長期的、計画的にワンヘルス実践の取組をさらに促進するために、具体的な法的仕組みづくりを目指し、我が会派から座長を出しております福岡県議会議員提案政策条例検討会議で鋭意検討を重ねてきました。この結果、さきの九月議会において、議員提案による、環境と人と動物のより良い関係づくり等福岡県におけるワンヘルスの実践促進に関する条例を可決、成立させたことは、本県議会史上でも特筆されることだと判断するところです。また、十一月には、我が会派、藏内勇夫相談役の特段の指導の下、第二十一回アジア獣医師会連合(FAVA)大会が福岡市で盛大に開催されたことは記憶に新しいところであり、チャレンジに取り組むための土壌は整っているように見受けられます。  そこで知事にお伺いします。さきに挙げた三つのチャレンジ、次代を担う人財の育成、世界から選ばれる福岡県の実現、ワンヘルスの推進について、その成果はいかなるものでしょうか。五か年計画である総合計画の始動から八か月が経過した今、その現状をお聞かせください。  また、本計画が目指す、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向けては、三つのチャレンジだけでなく、数多くの県政課題を幅広くクリアしていかなければならないと思慮するところでもあります。中でも成長産業の創出をはじめ、デジタルやグリーンなど新たな動きを捉えた施策の展開について、どのような新しい一歩を踏み出されたのか、県民に大いなる夢を抱かせるためにも、分かりやすくお答えください。  最後に、これらを踏まえ、福岡県総合計画が目指す、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、極めて重要な服部県政二回目の本予算となる令和五年度当初予算の編成について、どのような方針で臨む予定か、基本的なお考えをお示しください。  さて、アジア・オセアニア地域二十三の国・地域の獣医師会の連合組織であるアジア獣医師会連合(FAVA)の第二十一回大会が、アジアからのワンへルスアプローチをテーマとして、先月十一日から十三日にかけてヒルトン福岡シーホークで開催されました。新型コロナウイルス感染症の蔓延後としては、県内で開催された初めての大規模な国際会議で、獣医師をはじめ国内外から約二千人が参加されました。大会開催直前の先月九日には、日本獣医師会の藏内会長がFAVAの会長に就任され、FAVA大会の大会長として大会全体を統括されました。そして、十三日の閉会式では、調査研究体制の整備や人材育成、国際機関との連携などを通じて人獣共通感染症対策薬剤耐性対策、地球環境の保全などワンヘルスの課題解決と推進に取り組むアジアワンルス福岡宣言二〇二二を取りまとめられ、これを世界に向けて発信して、大会は成功裏に幕を閉じました。同時開催した福岡県ワンヘルス国際フォーラム二〇二二プラスFAVAの基調講演では、世界医師会会長のオサホン氏と世界獣医師会会長のラファエル氏のお二人が、それぞれのワンヘルスの取組と今後の展望について世界に向け発信されました。  さらに、FAVA大会の大きな成果の一つがFAVAワンルス福岡オフィスの設立です。オフィスが入居する予定のアクロス福岡において、関係者の立会いの下、FAVA会長に就任された藏内会長と服部知事の間で設立の覚書が締結され、来年度中に開設されることが示されました。これまで我が会派は、服部知事に対し、期限付で設置されているFAVA日本事務所を引き続き設置することが不可欠であり、県民が一体となって事務所の誘致を積極的に進めるべきであると提言してきました。ワンヘルスの先進地たる我が県と、アジア及び世界におけるワンへルスの実践活動をリードするFAVAワンルス福岡オフィスが手を携えることで、ワンへルスの取組が世界に広がっていくことを大いに期待するところです。  そこで知事にお尋ねします。ワンヘルスの世界的な先進地を目指している服部知事におかれましては、今回のFAVA大会と一連の事業をどのように総括しておられるのか、所見をお示しください。  また、FAVA大会の大きなレガシーであるアジアワンルス福岡宣言二〇二二、そしてFAVAワンルス福岡オフィスの設立を踏まえ、福岡県として、ワンへルスを今後どのように展開していかれるのか、知事の意気込みをお聞かせください。
     次に、北九州空港滑走路延長実現に向けた知事の決意をお聞きします。北九州空港については、県議会での論議を踏まえて作成された福岡県の空港の将来構想において、二十四時間空港の特性を生かし、福岡空港では対応できない早朝、深夜便の誘致を進めるとともに、貨物専用機の誘致を進め、貨物拠点空港として整備していくとされているところです。この整備方針に伴い、我が会派は、北九州空港の貨物拠点化を進める上で、長距離の貨物専用機の就航が可能となるよう、現在の二千五百メートルの滑走路を三千メートルに一刻も早く延長する必要があると早くから指摘し、本会議や委員会の場などにおいて度々ただしてきたことは、皆様御承知のとおりであります。  最近のこの問題をめぐる我が会派の動きを若干説明いたしますと、さきの決算特別委員会における我が会派議員の知事への保留質疑に対し、知事から、県議会と共に国に直接働きかけを行い、滑走路延長を早期に実現し、貨物拠点空港としてさらに北九州空港を発展させていきたいとの答弁があっております。この方針に基づき、十一月二日、早速知事は桐明議長と共に、国土交通省の豊田副大臣に対し、滑走路延長の早期実現に向けて働きかけをされています。さらには、十一月二十八日の空港・交通インフラ調査特別委員会において、我が会派の松尾統章議員から、今日までの我々の取組の成果により、貨物定期便の就航、増便、貨物取扱量の増加、さらなる需要拡大に対応する国際貨物上屋の整備など、県、市連携した取組の実績が上がり、環境アセスの手続も着実に進捗しています。こうしたことを踏まえると、滑走路延長の工事着手と、その前提となる新規事業採択がいよいよ間近であると期待でき、新規事業採択を確実にするため、地域を挙げてこれまで以上に国への働きかけを強化すべきであると提案、要望がなされたところでもあります。このように、現状は長年の地元の悲願の実現がかかる大事な局面に差しかかっていることは誰の目にも明らかであります。  そこで、これまで以上に強力に、地域を挙げて、国に対して、もう一押しすることが、新規事業採択を確実にする上で不可欠かつ効果的であると考えるところでありますが、知事の見解をお示し願います。  次に、北九州空港国際旅客便の運航再開についてであります。北九州空港の貨物取扱量は、コロナ禍の中、昨年度二万一千トンを超えており、特に国際貨物は四年連続で過去最高を記録するなど順調に伸びているようで、誠に喜ばしいところです。また、国内貨物についても、令和六年四月にはヤマトグループ及びJALグループによる貨物便が新たに就航予定となっているなど、今後の伸びが期待できる状況にあると聞き及んでいます。  その一方、旅客については、現状、国内線の羽田便のみの運航となっているなど、新型コロナウイルスの影響を受け、いまだその回復具合も十分とは言えない状況にあることは残念でなりません。新型コロナウイルスの影響を受ける前は、北九州空港の国際線の旅客数は増加傾向でありました。平成三十年度には、韓国仁川、釜山、台湾台北、中国大連に四路線のネットワークを有し、国際線の旅客数は約三十五万人を記録していたようですが、新型コロナウイルスの影響を受けた令和二年三月以降、国際線の運休が続いていると聞いています。去る十月十一日には国の水際措置が緩和され、福岡空港をはじめとした全国の主要空港の復便は徐々に進んでいるようですが、北九州空港においては、現在もなお全便運休のままであることは、誠に遺憾なことであります。航空会社の中には、ただいま述べましたような経営状況下においては、いきなり定期便の就航ではなく、チャーター便の運航から始めるなどの様々な選択肢を含め、検討しているところもあるのではないかと思慮するところです。  そこで、北九州空港国際旅客便早期運航再開に向けて、会社側はどのような方針を描いているのか、また、これに対し県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお示しください。  次に、関門海峡に新たに計画している北九州下関道路について質問します。関門地域を結ぶ関門トンネルと関門橋は、当該地域の一体的発展を支え、自動車産業をはじめとする成長産業分野の発展基盤となるなど、九州と本州の広域的な人流、物流及び経済活動の活性化を支える大動脈としての機能を担っています。しかしながら、関門トンネルは建設後六十四年、関門橋は四十九年が経過しており、それぞれ老朽化が進んでおります。このため、大規模災害等により、大動脈である関門トンネルや関門橋が通行止めとなった場合は、関門地域の交流が阻害されるのみならず、九州と本州間における交通やサプライチェーンに支障を来すこととなり、福岡県にとっては重大な損失となります。このような道路の脆弱性に対しては、代替機能の確保が必要不可欠であります。県議会としても、平成二十八年に北九州下関道路整備促進福岡県議会議員連盟を立ち上げ、中尾正幸会長を中心に山口県、北九州市、下関市の議員連盟や経済界と連携して整備促進大会を開催し、早期整備に向けた機運の醸成を図るとともに、国への要望活動を毎年実施するなど、積極的に活動を行っているところであります。  平成二十九年度からは、福岡県、山口県、北九州市、下関市の二県二市による概略ルートや海峡部の構造に関する検討が開始され、令和元年度には、国による海上部の概略構造に関する検討が行われました。令和二年度には有識者で構成される中国・九州地方合同小委員会で三つのルート帯案について、経済性や整備効果、環境への影響などの観点から比較検討がなされました。この検討を踏まえ、令和三年三月に、北九州市の北九州高速日明出入口付近と下関市の旧彦島有料道路を結ぶ、延長約八キロメートルのルート帯が国の対応方針として示されております。これに続いて、環境保全に配慮するための環境影響評価や本道路を都市計画に位置づけるための手続が進められており、環境影響評価については、項目や手法を取りまとめた方法書が、都市計画決定権者である北九州市と山口県から今年四月に公表されています。  そこで知事にお尋ねします。環境影響評価や都市計画の手続について、現在の進捗状況をお聞かせください。また、今後の取組と早期整備に向けた知事の決意をお聞かせください。  次に、これまでにも多くの議員がただしてまいりました西鉄天神大牟田線連続立体交差事業高架化後の沿線のまちづくりについてお聞きします。西鉄天神大牟田線は、福岡市天神から大牟田市をつないでおり、一日平均四十万人の利用者がある、県民の生活や経済を支える重要な鉄道であることは、多くの県民が知るところであります。しかしながら、春日原駅から下大利駅の間には踏切が十二か所もあり、沿線では交通渋滞や踏切事故が発生し、また鉄道により地域が分断され、少なからず発展の妨げとなっていたことも事実であります。こういった支障の解消を求める地元からの要望を受け、県は平成十五年に連続立体交差事業に着手し、約二十年の歳月をかけて、今年八月二十八日に西鉄天神大牟田線の雑餉隈駅から下大利駅までの間を高架化し、踏切の除去を完了しました。このことに伴い、交通渋滞が緩和され、踏切事故がなくなり、安全かつ円滑な通行ができるようになったことは評価しているところです。地元では、高架化されたことによって、今後、西鉄の沿線において地元の春日市、大野城市、西鉄を中心として、高架下の活用を含めたさらなるにぎわいのあるまちづくりが進められることに期待が高まっていると聞いています。  そこでお聞きしますが、地域住民の間では県の積極的な取組、支援を期待する声が根強いだけに、後方支援にとどまらず、積極的関与が望ましいところですが、その関わり方についての知事の見解をお示しください。  次に、地球温暖化対策についてお尋ねします。本県においては、平成二十九年七月の九州北部豪雨から五年連続で気象災害が発生しており、地球温暖化対策は避けて通ることができない喫緊の課題であることは、県民がよく承知しているところです。我が国では菅前首相が、二〇二〇年十月二十六日の臨時国会における所信表明演説において、国内の温暖化ガスの排出を二〇五〇年までに実質ゼロとする方針、いわゆるカーボンニュートラル宣言を行ったことは記憶に新しく、この宣言により、我が国においても脱炭素社会の実現に向けて大きく動き始めています。二〇二一年十月に改定された国の地球温暖化対策計画では、二〇三〇年度において、温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減すること、さらに五〇%の高みに向けて挑戦し続けることが表明され、この新たな削減目標の達成に向け、二酸化炭素以外も含む温室効果ガスの全てを網羅し、新たな二〇三〇年度目標の裏づけとなる対策、施策を記載して、新目標実現への道筋が描かれています。また、本年十月二十五日に、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動及び国、自治体、企業、団体、消費者等による官民連携協議会の発足式が開催されています。  そこで本県での取組ですが、二〇一七年三月に策定した福岡県地球温暖化対策実行計画を本年三月に改定し、改定後の実行計画では、国と同様、長期目標として二〇五〇年度の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すことを掲げています。こうした取組の一環として、県は本年七月二十五日に、地球温暖化対策に関する連携協定を九州電力株式会社と締結したと聞き及んでいます。本県の二〇一九年度の二酸化炭素排出量四千五百四十三万トンのうち、エネルギー起源の二酸化炭素が三千八百九十一万トンと八割以上を占める中で、省エネルギーやエネルギーシフトに精通した九州電力と連携することは、極めて意義あることと思われます。  そこでお聞きしますが、まず今回締結した連携協定の内容について御説明ください。  次に、協定締結によりどのような効果が県民にもたらされるのか、さらには今後どのような取組を進めていく考えか、詳細に説明願います。  次に、子供食堂支援などの新たな課題への対応を含め、我が県の未来を担う子供たちの人材育成の推進体制についてお尋ねします。国は、子供に関する取組、政策を社会の真ん中に据え、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に、誰一人取り残さない健やかな成長を社会全体で後押しすべく、来年四月、内閣府、厚生労働、文部科学の各府省に分かれていた子供政策を統合し、こども家庭庁を発足させます。我が県では、子供に関する施策や人材育成を、各府省の縦割りや就学、未就学の別によって、人づくり県民生活、福祉労働、教育庁の各部局が分担しているようですが、こども家庭庁発足後も従来の部局による分担を維持するのでしょうか。昨今の子供を取り巻く課題は、子供食堂、子供の貧困、ヤングケアラー、幼児教育など、従来の縦割りに収まらないものが増えています。しかし、今の我が県では、各部局が従来の分担に終始し、踏み込んだ横断的な対応はできていないように見えます。  折しも知事は、九月議会の我が会派の代表質問において、県が子供たちの人材育成の柱としてきた青少年アンビシャス運動の見直しを検討している旨答弁しました。子供たちの健やかな成長と未来を担う人材の育成のためには、子供施策全体を俯瞰的、部局横断的に推進できるよう、組織の改編も検討すべきだと思いますが、どのような推進体制を考えているのかお尋ねします。  また、いずれにしても、新しい行政施策を推進していくためには、新たな財政的裏づけを必要とするのは言うまでもないところです。そこで私は、ふるさと納税制度によって、言わば国民からの寄附金の一部をこの子供施策の財源に充当することはできないだろうかとも思慮するところです。これについて知事の見解をお聞かせください。  続いて、農林水産問題についてただします。全国の優秀な和牛を一堂に集めて、改良の成果やその優秀性を競う全国和牛能力共進会が、今年十月六日から鹿児島県の霧島市と南九州市を会場に開催されました。五年に一度開催されるこの大会は、和牛のオリンピックとも呼ばれており、マスコミ関係者の注目度も高く、全国の和牛関係者にとっては最も重要な大会と聞いています。本県から初めて出場した五年前の宮城大会では、健闘を見せたものの、トップクラスの産地との実力差を痛感する大会でもあったようです。  二回目となる今回は、前回出品した肉牛の部に加え、種牛の部にも初めて出品したということのようですが、出品牛を決める県の選考会には、数多くの生産者から、手塩にかけて育てた自慢の牛が出品され大変白熱したものであったと聞いています。大会にかける生産者の思いと五年にわたる取組の結果、着実に博多和牛の裾野が広がっていることを感じさせます。さらに、大会会場の鹿児島県には、我が自由民主党福岡県議団の藏内相談役をはじめ桐明議長、農政懇話会の松尾会長のほか、多くの議員が応援に駆けつけ、出品者に直接激励の言葉をかけてこられたと聞いております。こうした皆さんの熱い応援と、生産者の方々の努力が実を結び、大会では、肉牛の部において最上位の優等賞に輝き、佐賀牛など他県の有名ブランド牛よりも上位の成績を収める快挙を成し遂げたと聞いています。さらに、種牛の部においても、初出品にもかかわらず一等賞に入賞するという好成績を上げられたとか。これらの結果は、博多和牛が全国の有名ブランド牛に肩を並べ、最高レベルの品質を持っていることを広く全国に示すとともに、博多和牛を生産する繁殖雌牛の能力と生産者の技術力の高さを証明したもので、私たちにとっても大変誇らしいことです。  ところで、大会でこれほどの品質の高さを示した博多和牛ですが、県内の飲食店やレストランには九州各県のブランド牛がひしめいており、残念なことに、博多和牛の存在感は、県内においてもまだまだ高いとは言えない状況と認めざるを得ません。それだけに、全国的に注目された今回の共進会での好成績をさらなるブランド力強化につなげ、博多和牛の振興を図っていくべきです。こうしたことが、飼料高騰など厳しい経営環境の中で頑張っている県内の和牛農家を勇気づけ、経営を安定させることにつながるのではないでしょうか。  そこで伺います。知事は、県として産地間競争に勝ち抜き、博多和牛の振興を図るため、今後どのような施策展開を考えているのかお示しください。  次に、水田農業における基幹作物である麦、大豆についてお伺いします。まず、麦の情勢についてです。国内消費量の八割以上を外国産が占め、小麦の自給率は二割弱となっております。外国産小麦は、主要生産国であるロシアとウクライナの戦争による世界的な供給懸念により、今年三月に急激に国際価格が高騰し、史上最高を記録した後、ウクライナ産穀物の輸出停滞等により、高止まりの状況が続いていました。その後、国連、トルコ、ウクライナ、ロシアによるウクライナ産小麦の輸出再開合意とその実施等により、落ち着きを取り戻しつつあると聞いておりますが、食料の安全保障を考えたときに、非常に危険な状態であることに変わりはないと考えています。また大豆については、日本が輸入している主産地のアメリカ産、ブラジル産が気候変動により生産量が安定せず、消費大国である中国の旺盛な消費を受け、需給逼迫となり価格が上昇するなど、麦と同様に供給が不安定な状況となっています。  そのような中、本県は、耕作面積に占める水田面積の割合が約八割と、全国に比べ非常に高いという特徴があり、県内の水田では、米に麦、大豆などを組み合わせた、水田をフル活用することで収益を上げる経営が実践されているところです。しかしながら、米、麦、大豆の生産に必要な肥料、農薬などの資材の高騰により、生産にかかるコストは上昇する一方です。米は構造的にコスト上昇分を価格に転嫁できず、加えて人口減少や高齢化が進む中、需要も減少しています。水田農業の経営は非常に厳しく、生産継続さえ不安視される状況です。一方、輸入依存度が高い麦、大豆では、国際価格の上昇に伴い、外国産から国産への転換による需要の増加が期待でき、生産拡大のチャンスです。このような中、水田農業の経営を安定させていくためには、米のみならず、米以外の作物の振興が重要であります。とりわけ、水稲に代わる表作の大豆と裏作の麦はその中心であり、基幹作物である麦、大豆の振興なくしては、水田経営の安定化は困難であります。  そこで伺います。福岡県の水田経営の安定のため、麦、大豆の抜本的振興策を図るべきと考えますが、知事としての見解と抱負をお示しください。  それでは次に、教育問題について二点お聞きします。昨年七月に本県中間市で発生した五歳の保育園児の送迎バス車内での死亡事故に続き、本年九月には静岡県牧之原市の認定こども園でも同様の死亡事故が発生し、三歳の女児の貴い命が奪われてしまいました。去る十月には、埼玉県で県立の特別支援学校の通学バスに生徒が三十分程度、また先月には、広島県でも市立特別支援学校の通学バスに児童が四十五分にわたって置き去りにされる事故が発生しています。幸いその生徒たちの体調に異常はなかったということで、最悪の事態は避けられました。特別支援学校には肢体不自由や知的障がいのある児童生徒が在籍しており、いざというときに、自力で通学バスを脱出することが困難な児童生徒も乗車しています。このような事故は、特に熱中症を発症する危険性が高い夏場を中心に命の危険性が高まることからも、子供たちの安全を守るために万全を期すべきであります。  そこで、知事並びに教育長にお伺いします。本県の幼稚園や保育園、県立特別支援学校では、児童生徒が通学バスに置き去りにされるという事故を防止するために、どのような対応がなされているのでしょうか。また、こうした痛ましい事故を防止するため、さらには子供を預けている保護者の不安を解消するためにも、さらなる安全対策の強化が必要であると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お答えください。  次に、視覚障がい者の就労支援についてであります。障がいのある人とない人とに分かれることなく、個々人の能力が発揮できる共生社会を実現できれば、地域社会の活性化、民間における生産性の向上などが期待されます。また、障がいのある人の社会活動や就労の場に参加しようとする意欲が高まり、地域社会、ひいては日本全体の発展へとつながることが大いに期待されます。現在、障がい者については、国が法律で定める障がい者雇用率の引上げへの対応などもあり、官公庁や企業からの雇用ニーズの高まりが見受けられますが、高齢者の雇用と比べますと、まだまだ伸び代が大きいのではないかと考えます。  さて近年、ヘルスキーパーという言葉を耳にするようになりました。このヘルスキーパーとは、企業等において社員の健康の保持、増進を図ることを目的に、職場に設けられたケアルームなどに常駐し、社員の心身の疲労、首や肩の痛み、腰痛などの改善を図るため、あんま、マッサージ、指圧、はりやきゅうの施術などを行う理療の国家資格を持つ専任の理療師のことを指します。この理療師が行う施術は、直接体に触れ、指先の感覚を頼りに行うという点で、我が国では古くから、視覚障がい者に最も適した職業とされてきました。現在県内では、把握ができているだけで約三十社において、視覚障がい者がヘルスキーパーとして雇用されており、社員の健康の保持、増進と業務効率の向上に寄与しているところです。同時に、企業等がヘルスキーパーを雇用することにより、県内における障がい者の雇用促進にもつながっております。  今後、さらに県内の企業等にヘルスキーパー制度の導入を広げていくため、県としてどのように取り組むのか、知事の見解をお聞かせください。  さて、県立視覚特別支援学校には、理療師を養成するための職業教育課程である高等部専攻科が設置されている学校が二校あり、卒業後は、理療師として、病院やリハビリテーションセンターなどで活躍されているようです。  そこで教育長にお伺いします。県立視覚特別支援学校の職業教育のさらなる充実や生徒の就労促進を目指す上でも、このヘルスキーパー制度の導入が県内の企業等に広がることで、その成果が期待できるものと考えますが、今後の視覚特別支援学校における取組も含め、見解をお聞かせください。  次に、静かな広がりを見せるコロナ第八波における行動制限等について質問して、私の代表質問を終えたいと思います。国は、十一月十八日の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、この秋以降の感染拡大がこの夏のオミクロン株と同程度の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら感染拡大防止を図る方針を決定しました。その上で、病床使用率が五〇%を超えるなど、医療への負荷が増大したレベル三、医療負荷増大期の段階になれば、都道府県は、医療逼迫防止対策強化宣言を出し、住民、事業者に対して、より慎重な行動を要請できることが定められました。  そこで知事にお聞きします。現在、コロナ禍に加え、物価高騰の影響により地域経済は疲弊していますが、今後本県において、第八波の感染が拡大してレベル三になった場合に、行動制限の要請についてはどうするのか、またコロナとインフルエンザが同時流行した場合に、発熱外来が逼迫しないように、どのような対応を行うのか、お答えください。  最後に、関連して、マスクの着用についてお尋ねします。現在、マスクの着用については、屋外では原則不要とされていますが、レベル三の段階になり、コロナとインフルエンザが同時流行したときに、どう対応していいか分からないとの声もあります。今後のマスクの着用指針について、知事は県民にどのように周知していくおつもりでしょうか。  また、学校では子供たちが、マスクを着用しているために互いの表情が分かりにくくなるなど、情操教育の面からも、その弊害が指摘されています。子供たちをどのように指導していくべきか、教育長の見解をお聞かせください。現在、文科省からも、つい先日も、着用が不要な場合はマスクを積極的に外すよう促す旨の連絡があっているとのことですが、県内の市町村教育委員会では、マスクの着脱に関する意思統一がなされていないと聞いております。地域によって差があることはゆゆしき状況であり、県として統一的な見解を持つべきであると考えるものですが、ぜひその点も踏まえた上でお答えください。  以上で私の代表質問を終わります。(拍手) 3 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、十二月補正予算の編成方針についてでございます。今回の予算では、地域経済の活性化と成長発展、新型コロナウイルス感染症対策を軸として、総額で約百五十四億円を計上いたしております。地域経済の活性化と成長発展のための経費として約四十五億円を計上し、事業継続の支援として、プレミアムつき地域商品券の追加発行を支援するとともに、新たに本県独自のプレミアムつき食事券を発行し、コロナや物価高騰等の影響を受けている事業者の事業活動が継続できるよう支援をしてまいります。また、危機に強い経済構造の実現といたしまして、今後も起こり得る社会経済情勢の変化に対し柔軟に対応できる経済構造をつくっていくため、燃料や農薬の使用量の低減、省力化につながるスマート農業機械の導入を支援し、農業分野におけるDXを推進してまいります。新型コロナウイルス感染症対策のための経費といたしまして約七十六億円を計上し、第八波の拡大に備え、休日、夜間の発熱外来等の拡充や発熱外来の混雑状況をスマートフォン等で確認できるシステムの構築など診療、検査体制の強化を図ります。また、インフルエンザとの同時流行に備え、新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターやインフルエンザオンライン診療センターを設置するなど発熱外来の逼迫の回避を図ってまいります。こうした対策を通じまして、引き続き感染拡大防止と社会経済活動の両立を進めてまいります。  次に、国の経済対策を盛り込んだ補正予算についてお尋ねがございました。国は、事業規模約七十二兆円の物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を閣議決定し、十二月二日に、この対策の裏づけとなる第二次補正予算が成立いたしました。本県におきましては、九月補正予算におきまして、医療、福祉など県民生活に不可欠な施設や子供の学びを支える施設について、物価高騰、エネルギー価格の上昇に対する緊急的な支援を行いますとともに、十二月補正予算として、ただいま申しましたようなプレミアムつき地域商品券の発行支援など、消費の活性化を通じた経済対策を本議会に御提案しておるところでございます。現在、国のこの経済対策を最大限活用した次の補正予算を鋭意編成中でございまして、危機に強い経済構造への転換に重点を置いて政策を実施してまいりたいと考えております。  具体的に申しますと、中小企業のデジタル化、新製品開発の支援、農業分野における高性能機械、省エネ設備の導入支援、農業高校におけるDXの推進、輸出対象水産物の増産を目的とした人工魚礁の設置などを実施いたしますとともに、県民生活の安全、安心を確保いたしますため、妊娠から出産までの保健師等による相談支援及び経済的な支援、子供の送迎用バスへの安全装置等の導入支援、防災、減災、県土強靱化などに取り組むことといたしておりまして、これらの施策を盛り込んだ補正予算を来週中に提案させていただきたいと考えております。  次に、地域商品券キャッシュレス決済の促進に向けた取組についてでございます。キャッシュレス商品券は紙の商品券と比べますと、消費者にとっては、スマートフォン等で手軽に購入できます。そして、発行団体にとっては、発行や換金の事務を大幅に軽減できます。また、取扱店は、データ分析を活用して売上げ向上につなげることができます。このようなメリットがあるわけでございます。このため県では、一昨年度からキャッシュレス商品券の発行支援を開始いたしまして、システムの導入、運用費用に加え、消費動向のデータ分析費用も支援してまいりました。その結果、一昨年度の導入実績は十四団体、発行総額約十一億円でございましたが、今年度は四十七団体、発行総額約百五十億円と増加しております。一方で、高齢者の皆様などからは、利用方法が分からない、登録が面倒などのお声もありますことから、発行団体も、これによる客離れを警戒して、導入をちゅうちょするケースもございます。こうしたことが普及促進の課題となっております。このため、現在、キャッシュレス商品券の使い方を説明した動画の作成や専門の担当者によるサポートデスクの設置などを支援し、キャッシュレス商品券の普及に努めております。今後、今回の御指摘を契機といたしまして、まずは全ての発行団体において、一部分でもキャッシュレス商品券を導入していただきますよう、そのメリットやシステムの導入方法、他団体の導入事例など、丁寧に説明を行い、理解を求めてまいります。県といたしましては、キャッシュレス商品券を皮切りに、デジタル化の推進による地域経済の活性化を図り、デジタル先進県となることを目指してまいります。  次に、総合計画に挙げた三つのチャレンジの現状についてお尋ねがございました。まず、次代を担う人財の育成では、様々な分野で挑戦、活躍し、本県の発展を担っていく人材を育成してまいります。主なものを挙げますと、子供たちが県内どこでも充実した環境で学ぶことができるよう、県立高校や特別支援学校などにタブレット型パソコンを一人一台整備することといたしました。また、スタンフォード大学や在福岡米国領事館の協力をいただきまして、英語による異文化理解教育プログラム、スタンフォードe福岡を開講し、高校生を対象に、実践的な英語能力を身につけることができるハイレベルな学びの機会を提供いたしました。スポーツ分野では、東京オリンピックで三人のオリンピアンを生み出しましたタレント発掘事業をパラスポーツ分野に拡大し、フクオカ・パラスター・プロジェクトをスタートさせました。さらに産業分野では、九大、九経連などと九州DX推進コンソーシアムを立ち上げ、中小企業におけるDX推進の中核人材の育成を進めておりますほか、農業大学校のカリキュラムを全面的に見直し、スマート農業機械を導入して農業者の先端技術習得を支援するリカレント教育を実施しております。  次に、世界から選ばれる福岡県の実現では、国内外からの企業誘致や本県に立地しておられます企業の事業拡大支援などの取組を進めております。久留米・うきは工業団地には、資生堂や筑水キャニコムの新工場が竣工し、操業を開始いたしました。昭栄化学工業との立地協定の締結、さらに福岡市などと連携してシンガポールのフィンテック企業エムダックや台湾のイイサン銀行等の国際金融機関を誘致するなど企業立地が進んでおります。また、八女茶の輸出拡大のため、米国のバイヤー向けのセミナーや商談会を開催いたしますとともに、ニューヨークにおいて、茶専門店での販売フェアや高級レストランでの試食会を開催する準備を進めております。スポーツでは、先日、新しく生まれ変わった福岡国際マラソン二〇二二を新たな運営体制の下で開催をいたしました。来年二月には、北九州市において二〇二四年のパリ・オリンピック正式種目となりましたブレイキンの世界大会を開催いたします。さらに、福岡空港の国際線につきましては、航空会社への働きかけにより、現在、八か国・地域の十三路線が復便いたしました。北九州空港につきましては、先日発表された台湾からのチャーター便に続き、他の国際旅客便も早期に再開されるよう、北九州市をはじめとする関係機関と連携してまいります。これらにより、戦略的なインバウンド誘客に一層取り組んでまいります。  三つ目のワンヘルスの推進は、藏内勇夫日本獣医師会会長の御尽力を賜り、大いに進捗しております。具体的には、人、動物、環境の各分野に関する一体的な調査研究を推進するワンヘルスセンターの中核施設として、全国初となる動物保健衛生所、これは仮称でございますが、これを設置することといたしました。そして、アジア及び世界のワンヘルス実践活動をリードするFAVAワンルス福岡オフィスを誘致することができました。また、事業者の取組を促進するワンヘルス宣言事業者登録制度やワンヘルスの理念に沿って生産される農林水産物等を認証するワンヘルス認証制度を創設いたしました。さらに、森林浴などを通じてワンヘルスを実感できるワンヘルスの森四王寺を整備するとともに、福岡市と連携をいたしまして、馬や犬との触れ合いによる健康づくりができるワンヘルスパークを舞鶴公園に開設いたしました。私は、県政を進めていく上で、多様な主体と連携することが重要であると考えております。今年四月には、地域にとって重要な知の資源である九州大学と初めてとなります包括連携協定を締結し、幅広い分野で総合知を生かした新たな取組を進めているところでございます。これをはじめ、大学や企業、市町村など様々な主体と連携した取組が進んでいるものと考えております。  次に、デジタルやグリーンなど新たな動きを捉えた施策の展開についてでございます。世界的にカーボンニュートラルに向けた動きが加速します中、本県が持続的に発展していくためには、脱炭素化への対応を成長の機会と捉え、経済と環境の好循環をつくっていくことが重要でございます。まず、本県の基幹産業である自動車産業では、脱炭素化に向けた電動化などの技術革新に対応するため、新たに北部九州自動車産業グリーン先進拠点推進構想を策定いたしました。この構想の下、サプライヤーの電動化分野への参入を支援するセンターを開設し、また物流事業者への燃料電池トラックの導入支援に取り組んでおります。カーボンニュートラルのキーテクノロジーでございます水素分野におきましては、巨大市場への参入支援やグリーン水素へのシフトを目指す新規戦略を策定し、産学官で連携をいたします福岡県水素グリーン成長戦略会議を立ち上げました。この会議の下、福岡県水素グリーンイノベーションサポート窓口を開設いたしますとともに、工場の脱炭素化を目指す水素ファクトリーパッケージの開発にも着手いたしました。  カーボンニュートラル時代の製造業を支えるパワー半導体などのグリーンデバイスの開発、生産拠点の形成を目指し、福岡県グリーンデバイス開発・生産拠点協議会を設立いたしました。半導体の微細化競争を勝ち抜くために、三次元半導体研究センターによる試作、評価等の一貫支援に取り組みますほか、システム開発技術カレッジにおきまして、中小企業の技術者育成に取り組んでおります。  再生可能エネルギー分野では、部品点数が多く、建設、運転、保守など長期にわたって地域経済への波及効果が見込めます風力発電産業につきまして、福岡県風力発電産業振興会議を立ち上げました。現在、会員数は百四十を超えておりまして、先月、国の政策動向や先行地域である秋田県の現状、地元企業の動向等を研究するセミナーを開催いたしました。今後、九州大学とも連携を図りまして、人材育成や県内企業の研究開発、ビジネスマッチング等への支援を通じ、風力発電産業の本県への集積及び県内企業の参入促進を図ってまいります。  さらに、バイオ産業につきましては、昨年六月、西日本で唯一、国の地域バイオコミュニティに認定されましたことを受け、産学官七百七の会員から成る福岡バイオコミュニティ推進会議を新たに設立いたしました。また、昨年四月に竣工いたしましたバイオイノベーションセンターは、既に満室となりました。また、同センター内にゲノム編集産業化実証ラボを九大と連携して新たに開設し、バイオベンチャーの創出支援に取り組んでおります。さらに、九大発ベンチャーのエディットフォースがゲノム編集技術で二百億円のライセンス契約を締結いたしましたほか、VLPセラピューティクス・ジャパンが久留米市内に国内初の治験用ワクチン製造拠点の設置を決定するなどの成果を上げているところでございます。  次に、令和五年度の当初予算の編成方針についてお尋ねがございました。私たちを取り巻く情勢は、世界的な物価高騰に加え、DX、脱炭素化の推進など目まぐるしく変化をしており、これらに的確に対応いたしますとともに、未来を見据えて成長発展の歩みを力強く進めていかなければなりません。令和五年度は、先ほど述べました本年度の取組を踏まえ、これをさらに一歩前進させてまいります。  まず重要であるのは、次代を担う人財の育成です。将来の福岡をつくり、担っていくのは人であります。学校教育の充実、とりわけICTを積極的に活用した教育を進めてまいります。青少年アンビシャス運動の課題を整理し、見直しを行いますとともに、世界に羽ばたく青少年のチャレンジを応援する取組を充実させてまいります。産業人材につきましては、中小企業の半導体・DX人材を育成しますとともに、農業では、経営感覚に優れ、スマート化など新たな技術に対応できる人材の育成に取り組みます。  二つ目は、世界から選ばれる福岡県の実現であります。産業団地の造成を進め、国内外からの戦略的な企業誘致に取り組みますとともに、産学官の連携の下に、引き続き国際金融機能の誘致を進めてまいります。農林水産物のブランド化や輸出など販売の拡大に力を入れますとともに、現在の円安を好機と捉え、戦略的なインバウンド誘客に取り組んでまいります。さらに、ツール・ド・九州二〇二三大会など国内外から観光客を見込める大規模イベントの実現に向け、着実に準備を進めてまいります。併せまして、将来の発展基盤を充実するため、福岡空港の滑走路増設を着実に進めますとともに、北九州空港滑走路延長北九州下関道路の早期実現を目指します。  三つ目は、ワンヘルスの推進でございます。農林水産物等のワンヘルス認証制度、ワンヘルスの森などを通じ、県民、事業者におけるワンヘルスの実践を促進いたします。また、全国初のワンヘルスの実践拠点となるワンヘルスセンターの整備や、本県に設置されます世界におけるワンヘルスの実践活動をリードするFAVAワンルス福岡オフィスと連携した取組により、ワンヘルスの世界的な先進地となることを目指してまいります。  四つ目は、成長産業の育成でございます。コロナ禍でも、ピンチをチャンスに変え、将来への発展の種をまき、芽を育てることが重要でございます。先ほど御説明いたしましたように、発展的に改組あるいは新設した産学官の推進組織を生かし、それぞれの取組を前進させてまいります。グリーンデバイスの開発生産拠点の形成を目指しますとともに、バイオ、宇宙ビジネス、水素、自動車、再生可能エネルギーなどにつき、未来を切り開く産業への成長を図ります。また、大学発スタートアップなどを支援する新たな取組を進めてまいります。そして、県内の雇用を支える中小企業につきましては、AIを活用した検査工程の省力化など、生産性向上や事業展開、事業承継を支援してまいります。本県の基幹産業でございます農林水産業では、大規模化やスマート化など生産力の強化に引き続き取り組んでまいります。  引き続き感染症に取り組みますとともに、観光をはじめコロナ禍で影響を受けた地域経済を立て直してまいります。被災地の復旧、復興に全力を挙げますとともに、流域治水を推進し、防災、減災、県土強靱化に取り組んでまいります。全ての人の人権を守り、ジェンダー平等、女性の活躍、障がいのある方の自立と社会参加を進めますとともに、スポーツや文化芸術の振興、健康づくりに取り組んでまいります。  こうした取組を進めながら、地方創生の基本でございます、住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる、そういった地域社会づくりを一層進めてまいります。これまでお認めいただきました多くの施策、そして令和五年度の当初予算を通じまして、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、引き続き全身全霊で取り組んでまいります。  次に、FAVA大会と一連の事業の総括についてでございます。今回のFAVA大会には、国内外から獣医学、医学、環境分野の関係者をはじめ県内の大学生や高校生など約二千人が参加されました。また、同時開催したワンヘルス国際フォーラムには約八百人、農林水産まつりには約八万人の県民の皆様に御参加をいただきました。FAVA大会では、参加した海外の獣医師から、ワンヘルスの森やワンヘルス認証制度といった本県の取組は、世界に向けワンヘルスを発信するモデルとなるすばらしいものだといったお声や、大学生からは、ワンヘルスが身近な取組だと分かった、できることを考え、行動していきたいなどの声が聞かれました。また、特別シンポジウムで、ワンヘルスを学んで思うと題し全文英語で発表されました福岡県立八女農業高校、鞍手高校の生徒からは、このような大きな会場で多くの方に向け発表することができたことは、私たちの自信につながり、これからもワンヘルスを学んでいこうと思ったとの声も聞いております。国際フォーラムでは、ワンヘルスの今後の展望をテーマに御講演いただきました世界医師会、世界獣医師会の両会長から、政治、行政の取組の重要性が強調され、他に先駆けて条例を制定し、ワンヘルスを推進している県議会や県の取組を高く御評価いただきました。また県民講座においては、動物の保護活動に熱心に取り組んでおられます俳優の坂上忍さんから、この日オープンしたワンヘルスパークなど本県の人と動物の共生社会づくりに向けた取組について高く評価していただきました。農林水産まつりでは、来場者から、ワンヘルス認証農林水産物というものを初めて知った、お店で見かけたら買ってみようと思うといったお声を聞いたところでございます。これら一連の事業を通じまして、本県におけるワンヘルスの先進的な取組を広く発信できたものと考えております。FAVA大会の最終日には、人獣共通感染症対策薬剤耐性対策、動物と人の共生社会構築のための地球環境の保全の推進などが盛り込まれましたアジアワンルス福岡宣言二〇二二が採択をされました。福岡の名が盛り込まれた宣言が世界に向けて発信されましたことは、大変光栄であり、意義深いことでございます。このように、本大会は福岡県をワンヘルスの世界的な先進地としていく上で大きな弾みとなったと考えておりまして、大会長として成功に導いていただきました藏内勇夫FAVA会長の御尽力に対し、心から敬意を表する次第でございます。  ワンヘルスの今後の展開についてでございます。大会開催直前の先月九日、FAVAの会長に就任されました藏内会長と私で、FAVAワンルス福岡オフィスの設立に関する覚書を締結いたしました。福岡オフィスは、来年度、アクロス福岡に設立され、アジアワンルス福岡宣言二〇二二に掲げられましたワンヘルスの実践活動をリードするため、アジア各国からワンヘルスに関する情報を集積するとともに、世界動物保健機関、国連食糧農業機関などの国際機関と連携し、人獣共通感染症対策薬剤耐性対策に取り組むこととされております。今後、県はこの福岡オフィスと連携いたしまして、ワンヘルスセンターの中核施設となる保健環境研究所を中心とした人、動物、環境の各分野に関する一体的な調査研究を推進いたしますとともに、九州地方知事会として国に要望しておりますアジア新興・人獣共通感染症センターの九州への誘致に一層取り組んでまいります。また、引き続き小中高等学校でワンヘルス教育を普及してまいります。今後は、さらに県立三大学にもワンヘルスアプローチの考え方を広げていきますため、本県と三大学の教職員で構成する検討チームを立ち上げ、ハワイ大学の先進事例を調査するなど、ワンヘルスの推進を担う人材を育成していくための具体的な方策の検討を進めていきたいと考えております。加えまして、県内市町村に対しましては、今年九月議会で議員提案により制定されましたワンヘルスの実践促進に関する条例に基づき、市町村の取組に対する具体的な助言などの支援を行いまして、ワンヘルス推進宣言市町村を増やしますとともに、九州各県に対しましては、水環境中の薬剤耐性菌実態調査や野生動物におけるSFTS感染状況調査など本県の先進的な取組の実施について提案をすることにより、ワンヘルスの取組の拡大を図ってまいります。このような取組を進めていくことによりまして、日本のみならず、アジア、そして世界のワンヘルスの推進に貢献してまいります。  北九州空港滑走路延長の実現に向けた国への働きかけについてでございます。北九州空港の滑走路の三千メートル化の実現に向けましては、これまで県議会の皆様と一緒になって国に対し要望を重ねてまいりました。その結果、国は、一昨年度から滑走路延長に向けた調査に着手し、昨年度、地域住民等の理解の促進や円滑な合意形成を図るためのパブリックインボルブメントを終了したところでございまして、現在、環境アセスの手続を進めております。こうした中で、先月は、私自身、桐明議長と共に航空政策を担当されている国土交通省の豊田副大臣に直接早期実現を働きかけたところでございます。今後、国において、パブリックインボルブメント、環境アセスメントなど調査の結果や費用対効果分析などについて総合的に検討が進められ、学識経験者等による委員会の意見を聞いた上で、新規事業採択の可否が判断されることになります。県といたしましては、北九州市等と連携しながら、貨物定期便の誘致や集荷促進に引き続きしっかりと取り組み、その実績を情報提供するなど、国の総合的な検討が深まるよう協力してまいります。その上で、早期の新規事業採択を確実なものとするため、しかるべき時期に、県議会はもとより、北九州市等とも一体となって、地域を挙げて国に対して強力に働きかけを行ってまいりたいと考えております。  国際旅客便の運航再開に向けた取組についてでございます。国は、十月十一日から水際対策を緩和し、空港の検疫等の体制が整えば、順次、国際線の受入れを再開するとしております。このため、北九州空港での受入れを早期に再開できるよう、県は率先いたしまして北九州市と共に、門司検疫支所と協議、調整を進めております。また県では、北九州市と連携し、早期運航再開や新規就航を目指して、今年度からの三か年をネットワーク再構築推進期間と位置づけまして、定期便就航に対する助成制度を拡充するとともに、航空会社への直接訪問や商談会での働きかけを行い、路線誘致を進めております。さらに、航空機を利用した旅行をイメージした動画の配信や旅行博覧会への出展などにより、航空需要の喚起を図っております。航空各社への聞き取りによりますと、コロナ禍の旅客低迷や燃油高騰により経営が厳しいということで、まずは保有する機材の有効利用が可能なチャーター便を運航することにより、今後、定期便として運航する路線の旅客需要を見極めていきたいとのことでございます。先月の北九州市長との意見交換会におきましても、国際旅客便の早期再開につながるチャーター便への支援等に係る提言、要望を受けました。また、北九州市議会から県議会に対して同様の要望があったことも承知しております。県といたしましては、北九州空港において、先ほど述べましたような取組をしっかり進めますとともに、先日発表された台湾からのチャーター便に続き、他の国際旅客便も早期に再開されるよう、北九州市をはじめ関係機関と連携し、チャーター便への支援なども含め、定期便につながる効果的な施策を検討してまいります。  北九州下関道路における現在の進捗状況でございます。環境影響評価に係る手続につきましては、今年四月に公表された方法書に基づき、現在、動植物や大気、水環境などの情報を収集するための調査を実施いたしております。また、都市計画に係る手続につきましては、国から対応方針として示されました北九州高速道路の日明出入口付近と下関の旧彦島有料道路を結ぶ幅約一キロメートルのルート帯の中で、具体的なルート案を策定するための設計を実施しております。これらの調査、設計につきましては、橋梁形式となる海峡部は国が、陸上部は福岡県と北九州市、山口県と下関市がそれぞれ協働して実施しております。  次に、北九州下関道路の今後の取組でございます。環境影響評価につきましては、まず調査の結果や環境変化の予測などを取りまとめた準備書を国と二県二市が協働して作成いたします。その後、地域の皆様や有識者等の意見を踏まえ、評価書を作成してまいります。都市計画につきましては、国と二県二市で策定したルート案に基づき、都市計画決定権者であります北九州市、山口県におきまして都市計画の案が作成されます。これを基に、それぞれの都市計画審議会において審議が行われ、都市計画が決定されることとなります。県といたしましては、まずは環境影響評価や都市計画の手続について、国と二県二市で連携しながら、着実かつ迅速に進めてまいります。今後とも、議員連盟の皆様方のお力添えをいただきながら、北九州下関道路の早期整備に向け、全力で取り組んでまいります。  西鉄天神大牟田線連続立体交差事業高架化後の沿線のまちづくりについてお尋ねがございました。これまで福岡市、春日市及び大野城市は、連続立体交差事業に合わせ、沿線の市道や駅前広場の整備を進めております。また大野城市は、下大利駅の東側で土地区画整理事業を行いまして、駅周辺の市道等の公共施設の整備改善と宅地の基盤整備を進めております。県といたしましては、春日市や大野城市がこれらの事業を円滑に実施することができるよう、それぞれの事業工程の確認と調整を行っております。また、道路等の構造物の規格を決定する際に、技術的な助言を行っております。さらに、連続立体交差事業を行っている全国の自治体が参加する研究会へ共に参加をいたしまして、そこで得た情報を県、市ともに事業に生かしてまいりました。また、現在県が進めております筑紫中央高校の建て替え事業では、県教育委員会の理解をいただき、正門をセットバックし、オープンスペースを設ける計画といたしますことで、大野城市が高架下に整備いたします広場と一体で、地域のイベントや地域と学校をつなぐ出会いの場として利用できるようにしております。今後、両市は、市制五十周年の節目を迎え、新たなまちづくりを目指し、にぎわいや安らぎの創出を目的として、人が快適に歩ける空間づくりや人が集える広場などの整備を進めていくこととしております。県は両市に対し、今後新たに活用が可能な様々な国の補助制度を最大限かつ効果的に活用できるよう助言等の支援を行いますとともに、これらの事業が円滑に進みますよう、国との調整や必要な予算確保のための要望活動を積極的に行ってまいります。  次に、環境問題につきまして、九州電力株式会社との連携協定についてでございます。この協定は、地球温暖化対策を包括的かつ着実に推進いたしますため、県有施設のCO2排出削減に関することや、県民、事業者の環境に関する意識醸成やCO2削減支援策の推進に関することなどについて連携することとして、今年七月に締結いたしました。なお、温暖化対策に特化した都道府県と電力会社との協定は全国的に見ても先進的な取組であると認識をいたしております。県では、来年度以降、順次、県有施設に太陽光発電設備の設置や省エネ改修を行うことといたしております。この実施に当たりましては、この協定に基づき、太陽光発電設備の設置に伴う技術的助言や最新技術に関する情報提供などを九電からいただくことといたしております。また、県が実施する事業者、市町村向けセミナー等におきましても、省エネ、再エネに係る事例や最新の情報を提供いただいておりまして、引き続き、脱炭素化に向けた情報提供や助言をいただくことといたしております。さらに、来年度に向けて、次世代を担う小中学生向けの脱炭素に係る体験型教材の共同製作や家庭向け講座の共同実施などについて準備を進めております。これらの取組により、家庭における一層の節電やLEDなど省エネ効果の高い機器への買換えといった脱炭素型ライフスタイルへの転換や、事業者における省エネ設備の導入、既存設備の運用改善などエネルギーの効率的利用が図られ、さらなるCO2排出削減の効果が期待できるものと考えております。  次に、子供施策の推進体制についてでございます。来年四月施行のこども基本法では、子供施策について、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期を経て大人になるまで、心身発達の過程を通じて切れ目なく子供の健やかな成長に対する支援を行うことなどが定められております。このため、子供施策に関わっております保健医療介護部、福祉労働部、人づくり・県民生活部に教育委員会を含め、対応を検討してまいりました。その結果、子供施策を一元的に策定、実施いたしますこども家庭庁及びこども家庭センターを設置して住民の皆様に総合的、一体的に子供施策を提供する市町村、これらのカウンターパートとして新たな課を福祉労働部に新設し、県内どの地域にあっても子供の健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられ、子供の意見が尊重されることを推進することによりまして、子供真ん中社会を目指したいと考えております。同課におきまして、福祉労働部内をはじめ数多くの地域の社会資源とのつながりを生かし、医療、保健、福祉、教育、療育等の多分野にわたる県こども計画の策定の総合調整や子供の貧困問題、家庭、学校以外の子供の居場所づくりなど、近年の子供を取り巻く新たな部局横断的な課題にも機動的に対応してまいります。なお、青少年アンビシャス運動につきましては、先ほども申しましたが、課題を整理し、見直しを行った上で、これからの地域社会を支える人づくりなどに関連する施策を所管いたします人づくり・県民生活部において、引き続き取り組んでいきたいと考えております。  次に、ふるさと納税制度を活用した子供施策についてでございます。本県では、防災や福祉などの分野を指定して寄附を募る、ふくおかふるさと寄附金と、より具体的な事業を示しまして、その事業に共感した方から寄附を募るクラウドファンディング型ふるさと納税の二つの方法で実施をいたしております。子供施策の中で、例えば子供食堂については、趣旨に賛同する方々からの寄附金や食材の提供など人々の善意によって運営しているところも多うございまして、寄附された方々のお気持ちを直接お届けできることや、集まったお金を県のこども食堂ネットワーク等を通じ、有効に活用していただくことも考えられます。このため、より目的を特化したクラウドファンディング型ふるさと納税による支援が子供食堂については適当と考えておりまして、来年度の開始に向けて準備を進めておるところでございます。そのほかの子供施策につきましても、ふるさと納税の活用や、活用する場合に、いずれの方法で実施することがいいのかということについて、今後検討をしてまいります。  次に、農林水産問題について、博多和牛の振興についてでございます。県では、初出品いたしました前回大会の結果を踏まえ、生産者や関係団体の皆様と一体となって、肉量、肉質あるいは脂肪の質の向上、繁殖雌牛の能力向上に取り組んでまいりました。その結果、今回の共進会、いわゆる全共では、肉牛の部で最上位となる優等賞を受賞し、また初めて出品いたしました種牛の部では一等賞を受賞するなど前回大会を上回る優秀な成績を収めることができ、私といたしましても大変誇らしく思っております。また、福岡県畜産協会の藏内会長をはじめ福岡県議会の皆様におかれましては、鹿児島県の会場で直接出品者の皆さんを激励していただき、ありがとうございました。関係者一同、大変な喜びようであったと伺っております。博多和牛の振興を図っていくためには、生産拡大と併せ、今回の全共での成果をブランド力の強化につなげていくことが重要でございます。県では、生産を拡大するため、優良子牛の導入や畜舎の増築を支援いたしますとともに、自給飼料の増産に必要な機械の導入を進めております。併せまして、超音波診断や血液検査に基づく飼料給与方法の改善などを指導し、さらなる品質向上も図っております。また、ブランド力強化のため、関係団体と連携をいたしまして、今月十六日から十八日に開催いたします博多駅構内での入賞記念フェアをはじめ国内外の有名レストランやホテルでフェアを開催し、博多和牛の品質の高さ、おいしさを広く発信してまいります。県といたしましては、こうした取組により生産者の所得を向上させ、経営の安定が図られるよう、関係団体と一体となって博多和牛の振興を進めてまいります。  次に、水田農業における麦、大豆の振興についてでございます。本県では、元気つくしなどの主食用米や需要の高まりを受けて生産拡大をしております米粉に麦、大豆を組み合わせました水田のフル活用を進めました結果、耕地利用率は全国二位となっております。今後、さらなる活用を進め、日本一を目指してまいります。県では、これまで農地中間管理事業を活用した農地の集積、集約化などによる規模拡大に加えまして、スマート農業機械の導入を支援いたしますとともに、排水対策の徹底や土壌診断に基づく施肥技術の導入を支援し、生産性と品質の向上を図ってまいりました。特に麦では、製粉業者のニーズが高い小麦の生産を拡大いたしますほか、取引価格の高いラー麦について、適切な栽培管理の指導を行い、品質向上を図っております。また大豆では、現行の品種より収量が一割程度多い本県育成の新品種ちくしB5号への切替えを進めておりまして、来年二月には、公募により決定したネーミングとロゴマークをマスコミを通じ発表するなど、広く消費者に認知されるよう取組を進めてまいります。さらに、こうした取組を進めるため、今議会において、スマート農業機械の導入支援に必要な予算を提案したところでございます。加えまして、今回の御指摘も踏まえながら、国の経済対策を活用し、特に収量、品質の向上に必要な土壌診断に基づく施肥技術の導入などを支援するための予算を追加提案させていただきたいと考えております。県といたしましては、今後とも、麦、大豆の生産力を強化し、その振興を図ってまいります。  次に、教育問題につきまして、送迎バスの置き去り事故防止に係る幼稚園及び保育園への対応についてお尋ねがございました。県では、昨年七月に中間市で起きました送迎バスでの死亡事故を受けまして、全国に先駆け、県独自の福岡県保育施設による児童の車両送迎に係る安全管理標準指針を策定いたしました。この指針に基づき、園児の乗降確認や降車後の保育への引継ぎのほか、必ずバス送迎直後に車内清掃や消毒、忘れ物確認を行うことのマニュアル化を求めるなど、作業手順の中に園児の安全確認が組み込まれるよう、全ての保育施設、幼稚園に対して安全管理の徹底を要請してまいりました。県に監査権限がある保育施設に対しましては、常に安全管理の確認を強く意識していただくよう、安全管理のためのチェックシートを新たに作成し、今年四月からは、これを用いて監査を行っておりまして、さらに十月からは、事前通告なしの監査も実施しております。また、今年九月の静岡県での事故を受けまして、同様の事故を経験した本県といたしましては、独自に、改めて全ての保育施設、幼稚園に対し、安全管理の徹底要請の通知を発出いたしますとともに、バス送迎を行っている園に対し安全管理の取組状況を確認するための現地調査を市町村と連携して実施しております。  幼稚園及び保育園に対する安全対策の強化のための取組についてお尋ねがございました。国は、こどものバス送迎・安全徹底プランを実現するため、今回の第二次補正予算におきまして、送迎用バスへの安全装置の導入支援、登園管理システムの導入支援、子供の見守りタグの導入支援、安全管理マニュアルの研修を実施することといたしております。送迎バスからの降車や登園などは、人の目で確認することを基本としながら、県といたしましては、積極的にこの予算を活用し、安全対策の強化を図ってまいります。また併せて、万が一児童が車内に取り残された場合に備え、窓を開けたり、非常用ボタンやクラクションを鳴らす訓練の実施など、子供の年齢と発達に応じた取組の実施を保育施設や幼稚園に促してまいります。  このような事故は二度と繰り返されてはなりません。子供を保護者からお預かりし、お返しするまで、その安全が確保され、かけがえのない命が守られるよう、引き続き、しっかり指導監督してまいります。  次に、ヘルスキーパー制度の導入についてお尋ねがございました。企業等が視覚障がいのある方をヘルスキーパーとして雇用いたしますことは、障がいのある方の活躍の場の拡大につながります。また企業等にとりましては、従業員の健康増進、作業能率向上の点でメリットがあります。このようにヘルスキーパー制度は、障がいのある方及び企業等の双方にとって有効であると考えております。県では、国との共催で、企業と求職者のマッチングを目的として、障がい者雇用サポート交流会を開催しておりまして、今年度は新たに、この交流会の場において、採用担当者の方にあんま、マッサージ、指圧を体験してもらいまして、ヘルスキーパーのよさというものを実感してもらう取組を始めました。それに加え、今後は、視覚特別支援学校におきまして技能見学会を開催することによりまして、ヘルスキーパー制度を企業に紹介してまいります。さらに、県庁内において、今年度、ヘルスキーパーを想定した視覚特別支援学校による臨床実習を開始したところでございます。この取組は、理療での就職や開業を目指します生徒の治療技術の向上に寄与いたしますとともに、生徒の実習機会の拡大につながりますことから、教育庁と連携し、来年度、回数を増やしていきたいと考えております。今後とも、ヘルスキーパー制度の周知、啓発の機会拡大に努めてまいります。  次に、新型コロナ関連で、レベル三になった場合の行動制限の要請についてお尋ねがございました。レベル三になった場合、国は、混雑した場所等への外出を控えること、大人数の会食は見合わせを含め慎重に検討、判断することなどを例示いたしております。県といたしましては、できる限り社会経済活動を維持しつつ感染の拡大を抑止していくという基本的な方針の下で、地域の感染状況や医療の逼迫状況、要請に伴います県民生活や事業活動への影響、専門家や市町村の意見等を総合的に判断し、慎重に要請内容を決定してまいります。  新型コロナとインフルエンザが同時流行した場合の対応についてでございます。同時流行に備え、発熱外来の逼迫を回避し、必要な方が適切に医療にアクセスできるよう体制を整える必要がございます。このため、発熱外来を増やしますとともに、新たに休日、夜間に開設する発熱外来やその処方箋を受け付ける調剤薬局に対し協力金を給付いたします。また、同時流行した場合に重症化リスクの高い方の受診機会を確保するため、重症化リスクの低い方を対象とする新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターやインフルエンザオンライン診療センターを今後の感染状況に応じ機動的に開設できるよう、現在準備を進めております。さらに、発熱外来における患者からの問合せ等に対する負担の軽減と患者の円滑な受診につなげるため、発熱外来の混雑状況等をスマートフォンで確認できるシステムを新たに構築いたします。こうした取組によりまして、新型コロナとインフルエンザの同時流行に対応してまいります。  今後のマスク着用の周知についてお尋ねがございました。県では、国の基本的対処方針に基づき、マスクの着用を推奨する場合と着用を必要としない場合に分けて、マスク着用の考え方を市町村や関係団体を通じ県民や事業者の皆様に周知いたしますとともに、私の記者会見や県の広報媒体でも呼びかけているところでございます。今般、国におきまして、オミクロン株対応の新レベル分類が定められましたが、マスク着用の考え方はこれまでと同様でございまして、レベル二、またレベル三となっても、変更されるものではないと承知いたしております。県といたしましては、改めて県のホームページや広報媒体、SNSやラジオCM等を活用し、福岡オミクロン警報発動中も、ただいま申し上げましたマスク着用の考え方について周知してまいります。さらに、今後、国がマスク着用の考え方を見直した場合には、県民や事業者の皆様に対し、具体的に周知をしてまいります。 5 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 公立幼稚園及び県立特別支援学校の通学バスにおける事故防止対策についてでございます。県立特別支援学校の通学バスについては、従来から、運転士に加え、添乗員を必ず配置することとしており、その添乗員が、児童生徒の乗り降りの際に名簿を基に氏名を確認し、学校職員や保護者に確実に児童生徒を引き渡すこととしております。なお、公立幼稚園については、昨年七月に中間市で起きた送迎バスでの死亡事故を受けて、幼稚園を設置する市町村教育委員会に対し、福祉労働部が策定しました安全管理標準指針を参考に、安全管理を徹底するよう要請したところでございます。さらに、今年九月の静岡県での事故を受け、改めて安全管理の徹底について通知を発出するとともに、市町村教育委員会に対し、安全管理の取組状況を確認するための実地調査の実施を要請をしているところでございます。今後は、子供の発達段階や障がいの状況に応じて、自らが危険回避できる力を身につけられるよう、安全を確保する取組の充実を図ってまいります。また、さらなる安全対策の強化のため、今回の国の第二次補正予算を活用し、県立特別支援学校及び公立幼稚園の通学バスへの安全装置等の整備を速やかに実施をしてまいります。  次に、ヘルスキーパー制度の導入についてでございます。県立視覚特別支援学校においては、この制度が民間企業等で採用されることにより、国家資格の取得を目指す生徒の就職先の拡大とともに、さらなる学習意欲の向上につながるものと考えております。また、実習の場としての活用も可能なことから、はりやマッサージに関する実践的な就業体験が期待できると考えております。視覚特別支援学校におきましては、これまで校内を中心に臨床実習を実施をしておりましたが、今年度からは、新たにヘルスキーパーを想定し、県庁のロビーや福岡リーセントホテルなどでの臨床実習を始めたところでございます。今後、さらに企業や官公庁での臨床実習を拡充し、様々な職種に対応した治療技術の向上を図ることで、職業教育の充実と就労促進に努めてまいります。  次に、学校における児童生徒のマスク着用についてでございます。マスク着用は、基本的感染対策として引き続き重要ではありますが、コミュニケーションが取りづらいなどの影響も考えられることから、より注意深く児童生徒の日常の様子を注視していくとともに、活動場所や活動場面に応じてマスクの着脱が行われる必要があると考えます。このため、授業や部活動、給食の時間、徒歩や自転車での通学時などにおいて、児童生徒がマスクを外すことができる場面を客観的な基準により明示をし、小中学校、高等学校、特別支援学校、そして市町村教育委員会等全ての教育関係者が共通認識を持って指導に当たることができるよう、校長会や教員の研修会、さらには会議などにおいて周知徹底を図ってまいります。県教育委員会としましては、このような指導を通じて、児童生徒の心身の成長や充実した学校生活の実現を図っていく所存でございます。 7 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時五十分といたします。           午 後 零 時 三十七分  休 憩           午 後 一 時 五十一分  再 開 8 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。  休憩前に引き続き代表質問を行います。発言を許可いたします。冨永芳行君。(拍手) *冨永議員質問 9 ◯八番(冨永 芳行君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。本日、代表質問に登壇する機会をいただきました。日頃より御指導いただいております岩元一儀県議団会長をはじめ、諸先輩方皆様に感謝を申し上げます。また、本日は、私の地元糟屋郡、そして日頃より応援をしていただいております皆様に傍聴席へとお越しいただきました。心から感謝を申し上げますとともに、残りの任期もしっかりと真っすぐに、ふるさと福岡県の発展のために尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず冒頭に、第二十一回アジア獣医師会連合(FAVA)大会について述べさせていただきます。同大会は、先月十一日から十三日の三日間、アジアからのワンヘルスアプローチをテーマに開催され、獣医師をはじめ国内外から約二千人が参加、我が会派からも岩元会長をはじめ所属の議員が参加いたしました。大会の開催に先立ち、日本獣医師会の藏内勇夫会長がFAVAの会長に就任されました。我が国だけでなく、アジア・オセアニア地域の二十三の国・地域の獣医師会のトップに立たれましたことを大変うれしく思っております。誠におめでとうございます。  十三日の閉会式には、FAVA大会の成果として、人獣共通感染症対策薬剤耐性対策、地球環境の保全などワンヘルスの課題解決と推進に取り組むため、六つの柱から成るアジアワンルス福岡宣言二〇二二を取りまとめられ、これを世界に向けて発信して、成功裏に幕を閉じました。  また、福岡県が同時開催したワンヘルス国際フォーラムを通じて、本県のワンヘルスの先進性を国内外に発信でき、服部知事が目指しておられるワンヘルスの世界的先進地に大きく前進することができたと考えます。新型コロナをはじめ人に感染する感染症の約六割が人獣共通感染症と言われており、パンデミックの備えとなるワンヘルスの推進は、福岡県のみならず、我が国そして世界にとっても極めて重要な課題であります。我が会派におきましても、引き続きワンヘルスの推進に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。  それでは質問に入ります。まず初めに、来年度の予算編成に関する基本方針をお聞きします。来年度予算は、知事が陣頭指揮を執る予算としては二回目となります。来年度は、コロナ対策も大きく変化することも予想されますし、いよいよ知事の公約を実現していくための、その流れを確かなものにしていく年ではないかと思います。昨年十二月定例会において知事は、本年度の予算方針として、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県を目指したいと主張されました。知事は、この間、先ほど述べた目標に加え、ジェンダー平等、子供の貧困ゼロ、最低賃金千円などの姿勢も明らかにされました。非正規労働者や生活者に寄り添う我が会派は、知事のその姿勢を大いに評価しているところです。また、国の経済財政運営と改革の基本方針二〇二二、いわゆる骨太の方針でも、人への投資と分配を重点投資分野の一番に掲げて様々な方針が示されています。今こそ知事の掲げる公約を大きく前進させる好機と捉え、取組を加速していただきたいと思います。  そこで一点目に、本年度の予算執行も山場を越えた中、この誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県にどこまで近づいたのか。例えば福岡県総合計画に掲げた次代を担う人財の育成、高齢者、障がいのある人への支援、地域防災力と危機管理の強化がありますが、知事の評価をお聞かせください。  さて、コロナ禍も三年近く続いています。誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県づくりのためには、コロナ禍を乗り越えられるようなきめ細かい支援が必要だと思います。  そこで二点目に、次代を担う人財育成を中心に、来年度の予算編成をどのように取り組んでいかれるのかお聞きします。  次に、市町村振興のさらなる推進についてお聞きします。本県には六十の市町村があり、それぞれの地域が切磋琢磨して地域課題の解決と活性化に取り組んでいます。そういった中、知事は本年四月、企画・地域振興部内に市町村振興局を新たに設置されました。この局について知事は、さきの六月定例会において次のように具体的な決意を述べられています。局長自らが直接市町村長の皆さんの声を聞かせていただくことで課題を的確に把握する。把握した課題については、その内容に応じて、該当する専門知識や経験を有する職員を集めたチームを局内で編成し、適切な助言を行っていく。市町村が県に対して支援や協力を求める事案については、局が市町村の立場に立って庁内の各部各課と折衝する。平素から信頼され、相談しようと思ってもらえるような関係を築くと述べられ、それらを徹底させていると締めくくられました。市町村長にとって、これまでの県の市町村振興施策を劇的に変え、県と市町村との関係は大きく変化することが容易に想像できる答弁であり、県職員出身である服部知事らしい、並々ならぬ思いが表れていると思います。  そこで一点目に、今年度、市町村振興局において、市町村との連携強化のためにどのような取組を行ったのかお答えください。  二点目に、各種取組を通じて様々な課題も得られたと思いますが、その点について知事の認識をお聞きします。  さて、本県六十の市町村それぞれに課題も違います。本年度の取組を通じて市町村振興に資するよう、その取組を具体的かつ効果的に行っていくことが大切です。
     そこで三点目に、本年六月定例会の答弁の意気込みが形になる、来年度の市町村振興に関する目玉施策はどのようにお考えなのか、具体的かつ市町村関係者が勇気づけられる前向きな答弁を求めます。  次に、ジェンダー平等の福岡県づくりについて質問します。我が会派は、定例会の代表質問で毎回ジェンダー平等について知事の考えと取組を尋ねてきました。その中でも、昨年九月定例会で提起したパートナーシップ宣誓制度を導入されたことに対して大いに評価をしているところです。  そこで、本年二月定例会の代表質問で、我が会派の渡辺美穂議員がジェンダー主流化について言及しましたが、今回はその実効性についてお聞きします。二月定例会の代表質問では、正しくジェンダー平等を理解するために、知事をはじめ幹部職員の研修を実施し、今年度は課長補佐などを対象に研修を新たに実施するとの答弁がありました。研修を行い、ジェンダー平等の考え方をしっかり学んでいくことが基本的な取組であり、これら研修を一度だけにとどまらず、継続して実施し、理解を深めていく必要があると考えます。  そこで一点目に、県職員への研修の成果や意義を知事はどのように認識しているのか、改善点などはなかったのか、それぞれお聞きします。その上で、来年度以降、さらにその研修の対象者を増やすことや研修を定例化することが必要だと思いますが、いかがでしょうか、併せてお答えください。  次に、実効性のあるジェンダー平等推進のための具体的な施策への反映についてお聞きします。同二月定例会の代表質問で、県行政におけるジェンダー主流化について、知事は、ジェンダー平等の福岡県を実現するためには、県のあらゆる政策分野において男女の置かれている状況を客観的に把握、分析した上で、政策を企画、立案し、施策を実施していくことが重要であると答弁されました。そのためには、あらゆる政策分野においてジェンダー主流化に反していないのか、継続的なチェックと改善が必要ではないでしょうか。これまでの研修も生かし、各担当課における施策の総点検と改善への取組を実施し、それらを福岡県男女共同参画審議会で報告や意見聴取を行うことなどによって、県政において実効性のあるジェンダー平等を推進すべきだと考えます。  そこで二点目に、二月定例会での答弁に基づき、県の政策分野におけるジェンダー平等をどのように把握、分析し、施策を企画、立案、そして実施していこうとされているのか、知事の見解をお聞きします。  この項の最後に、県職員の女性管理職の登用について知事にお聞きします。第五次福岡県男女共同参画計画では、課長相当職以上に占める女性の割合を二〇%とするなどと定めています。しかし、知事部局においては、部長相当職の割合は定めておらず、知事もお気づきでしょうが、今、議場にいらっしゃる部長の皆様は全て男性で占められています。  そこで三点目に、部長相当職における女性の割合はどのように推移しているのか、現状も含め、お示しください。その上で、部長相当職において女性の割合を増やすべきだと思いますが、知事はどのようにお考えで、今後どのように取り組んでいかれるのかお聞きいたします。  次に、新型コロナウイルス感染症対策についてお聞きします。新型コロナウイルス感染症が出現し、三度目の冬を迎えます。現在は第八波に入ったとの見方が広がり、年末年始のさらなる感染拡大やインフルエンザとの同時流行、オミクロン株から新たな株への置き換わりも懸念されています。しかしながら、十一月九日に厚労省のアドバイザリーボードが公表した資料では、第五波と第七波を比較し、重症化率は約〇・七%から約〇・〇二%へ、死亡率も約〇・四一%から約〇・〇九%へと明らかに減少していることが示されました。重症化率、死亡率は減少したとはいえ、第七波では、有症状の方が医療機関へと押し寄せ、発熱外来で検査待ちの状況が多く見られました。また、救急搬送困難事例は、九月定例会の我が会派の代表質問で明らかになったように、八月八日から十四日までの週に最多の二百三十四件となり、医療現場が逼迫しました。第八波が第七波以上の有症状者を出した場合でも医療逼迫とならず、高齢者をはじめとする重症化リスクの高い方、治療の必要な方が確実に医療を受けられる体制づくりが必要です。この視点から、以下質問します。  まず一点目に、第七波を教訓に、再び発熱外来の逼迫や救急搬送困難事例が発生しないように、県はどのように体制を整備していくのかお聞きします。  現在、本県のコロナ検査体制については、無症状の方は無料の検査を県内六百二十六か所の検査場にて受けられるようになっていますが、濃厚接触者、有症状の方はこの検査を受けることができず、医療機関での受診となります。また、濃厚接触者、有症状者に対しては、十二月二日から抗原定性検査キットの配付が再開されています。しかし、これは十月三十一日まで行われていた方針と同様で、重症化リスクの低い小学四年生以上六十五歳未満であること、基礎疾患などの危険因子がないこと、ワクチンを二回以上接種していることが条件とされています。県が自己検査を推奨するのであれば、県民に薬局などで購入させるのではなく、希望者に検査キットを無料で配付すべきです。  そこで二点目に、濃厚接触者、有症状者に対して、無条件で検査キットを配付する体制をつくるべきと考えますが、知事の考えをお聞きします。  検査キットについては、これまで家庭での備蓄を要請してきたと知事が本定例会の議案説明の際に言及されました。しかし、県民の声をお聞きすると備蓄は進んでおらず、さらなる広報の必要性があるのではないでしょうか。  そこで三点目に、今後の感染拡大に備え、県民の検査キットの備蓄が進むように効果のある広報を行い、県民への周知を徹底すべきと思います。知事の見解を伺います。  次に、新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターとインフルエンザオンライン診療センターについてお聞きします。多くの県民は、熱などの症状が出れば直接医療機関を受診されており、オンライン診療はなじみのない分野であると思います。発熱外来の逼迫回避を目的にオンライン診療センターを開設する必要性は理解できますが、県民によってはオンライン診療に対する不安や抵抗感があるのではないかと懸念しています。十一億円もの多額の予算を投じてオンライン診療センターを開設しても、県民の方の利用が進まなければ全く意味がありません。  そこで四点目に、県民への周知を万全にすることはもとより、利用者にとって分かりやすく利用しやすい仕組みであることや、操作方法などについての丁寧な説明が不可欠と考えます。県として、この点についてどのように対応されるのかお尋ねします。  次に、コロナ禍における県行政の体制についてお聞きします。新型コロナウイルス感染症対策については、対策本部という、主に災害の際に立ち上げられる組織で対応していますが、これも間もなく三年近くになろうとしています。この間、感染拡大のたびに関係各部署から応援体制を構築して乗り切ってこられています。このような臨時的対応についてはやむを得ない部分もあるのは承知しています。しかし、がん感染症疾病対策課が所管する業務があまりにも広範囲で予算も大きく、がんや他の感染症、難病対策、骨髄バンクの普及啓発といった本来業務が滞っているのではないかと心配されます。  そこで五点目に、広範囲かつ多くの業務を抱えるがん感染症疾病対策課については、現状の体制のままでいくのか、再編が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、本来業務を滞らせないための執行体制の整備や強化も含め、お聞きします。  この項の最後に、コロナ対策の最前線で業務に当たる保健所の機能強化についてお聞きいたします。コロナ禍前において出先の各保健所では、感染症対策はもちろん、県民に対しての精神保健、難病対策などの対応と啓発活動を行い、事業者には食品衛生や薬事、環境衛生などの対応を行ってきました。しかし、現場の声をお聞きすると、多くの保健所ではコロナ対応に忙殺され、また物理的にも会議室などが使用されていることから、先ほど述べた様々な本来業務が十分に行うことができていないと言われています。コロナ禍を受け、確かに人員の増員や機器の整備等に当たってこられましたが、今後も人獣共通感染症をはじめ、未知の感染症に向き合うことになる保健所の機能強化は待ったなしの状況にあると思います。  そこで六点目に、コロナ禍収束後も、保健所は感染症対策に万全な状況で臨める体制を構築し続けることが大切だと思いますが、知事はどのように取り組むのかお聞きします。また、併せて保健所のハード面の整備について早急に検討すべきだと思いますが、知事の今後の取組をお聞きします。  次に、子供の貧困対策の推進についてお聞きします。子供の貧困問題は、近年、日本を含め世界中で解決すべき重要課題の一つとされています。加えて、昨今の新型コロナの拡大の影響とロシアのウクライナ侵攻による物価高騰の影響により、家計にも大きな影響が生じている中、子供の貧困状態がますます悪化することが強く危惧されます。子供の貧困対策は、来年四月に新設されるこども家庭庁に移管され、子供の権利を守る基本理念であるこども基本法も同時に施行されます。国では、この基本法の実現に向け、こども大綱を来年度に策定される予定であると聞いています。  そういった社会情勢や国の子供政策の大転換が図られる中、知事は、子供の貧困ゼロという、本県の子供の未来にとって極めて重要な選挙公約を掲げて当選されました。これは、知事がこの間、福岡県が発展していくためには、次代を担う人材を育成することが大切と、県政における最も重要な柱として掲げていることにも通じます。まさに、本県における子供の政策への取組、特に次代を担う人材の育成や子供の貧困ゼロを推進していくための取組は、本県の重要な政策になっていくものと確信しています。そのためにも、本県の子供が置かれている現状をつまびらかに把握することが前提であり、欠かせないことだと思います。  この点については、さきの九月定例会の決算特別委員会において、我が会派の川崎俊丸議員がただしたところです。その際、十七歳以下の生活保護率や小中学校の就学援助率から、福岡県が全国に比べ大変厳しい状況にあると認識しながらも、福岡県独自の子供の貧困率の調査は行われていないこと、また県内五か所に設置されている子ども支援オフィスの相談内容のみで県内の実態把握を図ろうとしていることなどが答弁されました。このような調査だけでは、知事が掲げる子供の貧困ゼロを目指す政策を効果的、具体的に推進できないのではないかと思います。子供の貧困に関する都道府県の独自調査は、大阪府、愛知県、北海道が実施しています。  そこで一点目に、知事公約の実現のためにも、福岡県の子供の貧困の現状を明らかにすべく、県独自の調査をすべきと考えますが、知事の認識をお尋ねします。  本県では、二〇一六年に福岡県子どもの貧困対策推進本部が設置されています。推進本部の設置目的は、本県における子供の貧困対策に関する施策を全庁的に推進するためと規定され、知事を本部長とし、執行部の全部長、教育長、警察本部長で構成されています。こうした全庁的な組織も、子供の貧困対策への取組姿勢を示すためには必要だと思いますが、子供の貧困をゼロにするための取組を具体的に進めるためには、機動性の高い、実効性のある組織が必要であると考えます。  そこで二点目に、知事は子供の貧困対策の推進体制についてどのようにお考えなのかお示しください。  次に、こども基本法では、地方公共団体は、国が来年度に策定するこども大綱を勘案し、こども計画を策定するよう努めるとされています。また、同法では、地方公共団体は、子供施策を策定、実施し、及び評価するに当たっては、施策の対象となる子供または子供を養育する者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされています。  そこで三点目に、子供の貧困対策はこども計画の中に位置づけられるとされていますが、こども計画の策定に当たり、当事者である子供の意見を反映させるため、どのような仕組みを考えておられるのか、知事にお伺いします。  ひとまずここで一くくりとして質問させていただきます。御答弁をお願いいたします。(拍手) 10 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、県の総合計画に掲げた取組についてお尋ねがございました。まず、次代を担う人財の育成におきましては、様々な分野で挑戦、活躍し、本県の発展を担っていく人材を育成してまいります。主なものを挙げますと、子供たちが県内どこでも充実した環境で学ぶことができるよう、県立高校や特別支援学校などにタブレット型パソコンを一人一台整備することといたしました。また、スタンフォード大学と在福岡米国領事館の協力をいただきまして、英語による異文化理解教育プログラム、スタンフォードe福岡を開講いたしまして、高校生を対象に実践的な英語能力を身につけることができるハイレベルな学びの場を提供いたしました。スポーツ分野では、東京オリンピックで三人のオリンピアンを生み出しましたタレント発掘事業をパラスポーツ分野に拡大し、フクオカ・パラスター・プロジェクトをスタートさせました。さらに産業分野では、九大、九経連などと九州DX推進コンソーシアムを立ち上げ、中小企業におけるDX推進の中核人材の育成を進めておりますほか、農業大学校のカリキュラムを全面的に見直し、スマート農業機械を導入し、農業者の先端技術習得を支援するリカレント教育を実施いたしております。  高齢者、障がいのある人への支援についてでございます。高齢者への支援につきましては、認知症カフェの運営上の課題を解決いたしますため、カフェの運営者等を対象とした相談窓口を開設したところでございます。また、九月二十一日の世界アルツハイマーデーに合わせ、県庁ロビーでの啓発パネルの展示や認知症当事者による講演会によりまして、県民の皆様に認知症に対する理解を深めていただきました。さらに、認知症等で判断能力が不十分な方の権利を擁護する成年後見制度の利用促進に係る広域的な課題を協議していくため、市町村、弁護士会、金融機関、家庭裁判所等で構成いたしますネットワーク会議を設置いたしました。障がいのある人への支援としては、日常的に医療的ケアを必要とするお子さんとその御家族を支援するため、新たにこども療育センター新光園内に医療的ケア児支援センターを開設いたしました。また、日本財団との連携の下、障がいのある方の収入向上を図るため、国立国会図書館の蔵書デジタル化事業を行います就労支援の場を県内二か所に開設いたしました。  地域防災力と危機管理の強化につきましては、今年度から市町村における避難行動要支援者の個別避難計画の作成が進みますよう、避難支援関係者間で連携を図るための協議会の設置、避難支援者の候補となる方の洗い出しなど、避難支援者を確保するための取組を市町村と連携し行っております。また、危機管理を強化いたしますため、県地域防災計画等の各種計画のさらなる充実等を図っております。総合計画に掲げました本県の目指す姿でございます、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、こうした取組を着実に進めているところでございます。  令和五年度当初予算の編成方針についてお尋ねがございました。私たちを取り巻く情勢は、世界的な物価高騰に加え、DX、脱炭素化の推進など目まぐるしく変化しております。これらに的確に対応するとともに、未来を見据えて成長発展の歩みを力強く進めていかなければなりません。令和五年度は、先ほど述べました今年度の取組を踏まえ、これをさらに一歩前進させてまいります。  まず重要でありますのは、次代を担う人財の育成でございます。将来の福岡をつくり、担っていくのは人であります。学校教育の充実、とりわけICTを積極的に活用した教育を進めてまいります。青少年アンビシャス運動の課題を整理し、見直しを行います。そして、世界に羽ばたく青少年のチャレンジを応援する取組を充実させてまいります。産業人材につきましては、中小企業の半導体・DX人材を育成しますとともに、農業では、経営感覚に優れ、スマート化など新たな技術に対応できる人材の育成に取り組みます。  二つ目は、世界から選ばれる福岡県の実現でございます。産業団地の造成を進め、国内外からの戦略的な企業誘致に取り組みますとともに、産学官が連携をいたしまして、引き続き国際金融機能の誘致を進めてまいります。農林水産物のブランド化や輸出など販売の拡大に力を入れますとともに、現在の円安を好機と捉え、戦略的なインバウンド誘客に取り組んでまいります。さらに、ツール・ド・九州二〇二三大会など国内外から観光客を見込める大規模イベントの実現に向け、着実に準備を進めてまいります。併せ、将来の発展基盤を充実するため、福岡空港の滑走路増設を着実に進めますとともに、北九州空港滑走路延長北九州下関道路の早期実現を目指します。  三つ目は、ワンヘルスの推進でございます。農林水産物等のワンヘルス認証制度、ワンヘルスの森などを通じまして、県民、事業者におけるワンヘルスの実践を促進いたします。また、全国初のワンヘルスの実践拠点となりますワンヘルスセンターの整備や、本県に設置されます世界におけるワンヘルスの実践活動をリードするFAVAワンルス福岡オフィスと連携した取組によりまして、ワンヘルスの世界的先進地となることを目指していきます。  四つ目は、成長産業の育成でございます。コロナ禍でも、ピンチをチャンスに変え、将来への発展の種をまき、芽を育てることが重要でございます。昨年来、発展的に改組、新設してまいりました産学官の推進組織を生かし、取組を前進させてまいります。グリーンデバイスの開発・生産拠点の形成を目指すとともに、バイオ、宇宙ビジネス、水素、自動車、再生可能エネルギーなどについて、未来を切り開く産業への成長を図ります。また、大学発スタートアップなどを支援する新たな取組を進めてまいります。そして、県内の雇用を支えていただいております中小企業につきましては、AIを活用した検査工程の省力化など、生産性向上や事業展開、事業承継を支援してまいります。本県の基幹産業でございます農林水産業におきましては、大規模化やスマート化など生産力の強化に引き続き取り組んでまいります。  また、引き続き感染症対策に取り組みますとともに、観光をはじめコロナ禍で影響を受けた地域経済を立て直してまいります。被災地の復旧、復興に全力を挙げますとともに、流域治水を推進し、防災、減災、県土強靱化に取り組んでまいります。全ての人の人権を守り、ジェンダー平等、女性の活躍、障がいのある方の自立と社会参加を進めますとともに、スポーツや文化芸術の振興、健康づくりに取り組んでまいります。  こうした取組を進めながら、地方創生の基本でございます、住み慣れたところで働く、長く元気に暮らす、子供を安心して産み育てることができる、そんな地域社会づくりを一層進めてまいります。これまでお認めいただきました多くの施策、そして令和五年度の当初予算を通じまして、誰もが安心して、たくさんの笑顔で暮らせる福岡県の実現に向け、引き続き全身全霊で取り組んでまいります。  次に、市町村との連携強化のための取組についてでございます。県といたしましては、住民に最も近い基礎自治体でございます市町村の皆様の声をしっかり受け止め、県として政策の方向性を迅速、明確に示し、市町村と共に政策を進めるための基盤となるプラットフォームを構築していく。その上で、市町村にはそれぞれの規模や、あるいは地域の実情に応じて事業を組み立てていただく。このようなスタイルをつくっていくとの考え方で、本年度新たに市町村振興局を設置いたしました。四月以降、局を統括いたします市町村振興局長は、四十市町村、延べ五十九回市町村を訪問いたしますとともに、様々な機会を捉えて、ほぼ全ての市町村長の皆様の声を直接聞かせていただきました。また、新しく配置いたしました三人の地域政策監も担当地域に頻繁に足を運び、県と市町村の信頼関係を強固にし、地域の実情や課題の把握に注力してまいりました。そして、市町村の政策立案やその推進を支援する政策支援課と市町村の行財政の円滑な運営を支援する行財政支援課、この両課が一体となりまして、局を挙げて支援を行っているところでございます。具体的には、BRT新駅設置や二次交通の整備に係る方策、情報システム標準化や庁内のDX化に係る適切な手法や財源措置、廃校を活用した子育て支援の拠点整備に係る財源措置などについて、助言や庁内各部及び国などの関係機関との折衝を行い、市町村の課題解決につなげているところでございます。  市町村の課題に対する認識についてお尋ねがございました。今年四月以降、市町村振興局に対しまして、新たにマイナンバーカードの普及支援策を含むデジタル化の推進、公共施設の老朽化対策、職員の人材育成や行財政改革、空き家や地域交通など人口減少に伴い顕在化してきた課題への対応など様々な相談が寄せられております。このような相談を受けます中で、市町村においては、それぞれの地域で行政運営に取り組むに当たり、特に人材や情報が不足しており、それらは市町村間でも格差があるということが再確認されました。私自身も市町村長の皆様と話をする機会が多々ございますが、その多くから、県の姿勢が変わってきた、これからもっといろいろなことを相談したいとの声を直接お聞きしております。やはり市町村との信頼関係を築くことが極めて重要であると改めて認識したところでございまして、それぞれの地域の実情に応じた市町村の立場に立った一層の支援につなげていきたいと考えております。  市町村振興に関する今後の取組でございます。先ほど来述べてまいりましたとおり、県といたしましては、引き続き足しげく市町村を訪問し、市町村に寄り添って丁寧に対応し、信頼関係をより強固にしていくことが何より重要であると考えます。県内には過疎地域や旧産炭地域など行財政運営に苦慮しておられる市町村が数多くございまして、そうした市町村に対し、その規模や地域の実情に応じてきめ細かに支援を行ってまいります。それに加えまして、来年度は、地域振興施策について県から情報提供する場でございました地方創生市町村圏域会議、これを見直しまして、市町村振興局に加え県庁内の関係課もメンバーとし、買物、地域交通等住民の生活を支える機能の確保、あるいは災害への対応、次世代の人材育成、さらに施設、インフラ等の資源や専門人材の共同での利活用など、広域的な地域の課題を協議し、必要に応じて専門的な助言を行うなど、市町村が将来にわたって主体的に課題解決に向けて取り組めるよう支援を行ってまいります。併せまして、市町村職員の皆さんが中長期的な視点で政策を立案していくための人材育成についてどのような取組が効果的か、市町村の意見もお伺いしながら検討を進めてまいります。  次に、ジェンダー平等に関する職員の研修についてでございます。これまで実施してまいりました幹部職員や本庁の課長補佐等を対象とした研修では、ジェンダー平等の理念とその重要性や、男女別のデータに表れている差異の背景や要因を分析して政策を企画、立案する手法などについて学んでまいりました。研修後のアンケートでは、全ての職員が政策にジェンダー平等の視点を反映する参考になったと回答しておりまして、有効な研修になっているものと認識しております。これまでの研修は、主に政策の企画、立案に携わる職員を対象に行ってまいりました。しかし、事業の実施に当たっても、性別にかかわらず誰もが利用、参加しやすいものになっているか、事業効果が男女それぞれに寄与しているかなどジェンダーへの配慮が必要でございまして、全ての職員がジェンダー平等の視点を学ばなければならないと考えております。このため、毎年各所属において県政の課題をテーマとして実施しております研修に、ジェンダー平等をテーマに取り入れますことや、企業や経済団体等を対象に行いますセミナー等を職員の皆さんも視聴できるよう録画配信するなど、様々な手法を検討してまいります。  ジェンダー平等推進のための具体的な施策への反映についてでございます。県のあらゆる政策分野にジェンダー平等の視点を取り入れ、施策に反映していくためには、各課においてその施策を自己点検し、改善する仕組みが必要であると考えます。このため、本年度、男女共同参画審議会委員の御意見も伺いながら、現状を男女別に把握しているか、事業内容等が固定的な性別役割分担を前提としたものになっていないかなど、施策をジェンダー平等の視点から点検するためのチェックリストを新たに作成し、各課において事業の企画、立案、実施、それぞれの段階で点検を行うことといたしました。今後、先ほど申し上げました研修によりジェンダー平等に関する職員の理解を深めますとともに、事業の進捗状況や効果、課題などを検証する行政評価におきまして、このチェックリストによる点検を行い、その結果を事業の企画、立案や予算などに反映してまいります。  次に、知事部局における部長相当職に占める女性の割合についてでございます。知事部局には現在二十六名の部長相当職がありまして、このうち現在女性職員は二名、割合で七・七%となっております。過去十年を見てみますと、おおむね一名ないし二名で推移している状況でございます。女性の活躍推進は、組織の活力向上に資するものでございます。このため、これまでも幅広い業務への配置や国の省庁への派遣など、女性職員の人材育成の取組を積極的に推進してまいりました。今年度の女性登用率でございますが、十年前と比べますと、課長級では五・八%から二〇・六%へ、課長補佐級では一一・二%から二七・七%へとそれぞれ大幅に上昇し、いずれも過去最高となるなど、将来の部長相当職となり得る人材も着実に増加しておるところでございます。今後も、多様な経験を踏むためのポスト配置など部長相当職への登用を見据えた育成に特に意を用いながら、引き続き女性職員の積極的な登用に努めてまいります。  次に、新型コロナにつきまして、第七波を踏まえた体制整備についてでございます。新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、第七波までの対応に加えまして、発熱外来の逼迫を回避し、必要な方が適切に医療にアクセスできますよう体制を整える必要がございます。このため、発熱外来を増やしますとともに、新たに休日、夜間に開設する発熱外来やその処方箋を受け付ける調剤薬局に対し協力金を給付いたします。また、同時流行した場合に重症化リスクの高い方の受診機会を確保いたしますため、重症化リスクの低い方を対象とする新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターやインフルエンザオンライン診療センターを今後の感染状況に応じ機動的に開設できるよう現在準備を進めております。オンライン診療センターは、休日、夜間に症状が悪化し、その不安から救急要請をしていた軽症者にも対応できますことから、救急搬送困難事案の減少にもつながるものと考えております。さらに、発熱外来における患者からの問合せ等に対する負担の軽減と患者の円滑な受診につなげますため、発熱外来の混雑状況等をスマートフォン等で確認できるシステムを新たに構築いたします。こうした取組により、新型コロナとインフルエンザの同時流行に対応してまいります。  検査キットの配付についてお尋ねがございました。六十五歳以上の高齢者の方、また基礎疾患がある方、ワクチン接種二回未満の方は、新型コロナに罹患いたしますと重症化するリスクが大きくなります。このため、自己検査ではなく速やかに発熱外来を受診していただく必要がございます。このため、検査キットの配付対象につきましては、無条件とはせず、重症化リスクの低い有症状者に限定しているところでございます。県では、感染拡大時におきましても、重症化リスクの高い有症状者が発熱外来を確実に受診できますよう、重症化リスクの低い有症状者の方については、検査キットで陽性の場合は発熱外来を受診せず、陽性者登録センターへ登録できる体制を整備しているところでございます。  検査キット備蓄の広報についてでございます。感染拡大時には発熱外来が混雑をいたしまして、速やかに診療、検査を受けられない場合も考えられますので、検査キットや解熱薬などの備蓄につきまして、私の記者会見などを通じ、県民の皆様に繰り返しお願いをしてまいりました。このほか県のホームページやSNS、主要駅や繁華街、大型ショッピングモール等のデジタルサイネージ、市町村の広報媒体などを活用し、備蓄の呼びかけを行っているところでございます。また、検査キットにつきましては、研究用ではなく、国が承認いたしました医療用もしくは一般用を使用いただくよう注意喚起を行っております。今後は、新たに県広報紙や新聞広告による広報のほか、九州経済連合会や商工会議所、商工会などの関係団体等を通じ、事業者や学校、保育所等に対し、従業員や職員に呼びかけていただくよう協力依頼も行ってまいります。また、検査キットを購入できるお店を分かりやすくお知らせしますため、現在、県薬剤師会等におきまして、医療用、一般用の検査キットを取り扱う薬局、薬店のリストを収集しておりまして、まとまり次第、県のホームページで公表します。  次に、オンライン診療センターの利用促進についてでございます。新型コロナ自宅療養者オンライン診療センターにつきましては、健康フォローアップセンターが自宅療養者の方から症状の悪化や受診の相談を受けました際に御案内することといたしております。また、インフルエンザオンライン診療センターにつきましては、県のSNSや広報媒体を活用し、県民の皆様に幅広く周知してまいります。このオンライン診療センターの利用に当たりましては、専用のホームページから申し込んでいただき、アプリを入手していただき、このアプリ上で診療日時の予約、オンライン診療の受診、薬の受け取り調整などが一元的に行えるようにいたします。また、利用者向けのコールセンターを設置をいたしまして、この操作方法などの問合せに丁寧に対応してまいります。こうしたオンライン診療センターの受診の流れを分かりやすく取りまとめて、県のホームページに掲載することといたします。  次に、がん感染症疾病対策課の体制整備についてお尋ねがございました。がん感染症疾病対策課は、難病、がん、疾病、感染症への対策に加えまして、新型コロナウイルス感染症対策本部の事務局の役割を担っております。新型コロナの感染拡大に伴い、事務局の業務が増大いたしましたことから、専任職員と他部からの兼務職員を合わせ、最大百五名まで事務局の人員を増員いたしました。また、疫学調査や宿泊療養などを担当する班を最大十六班設置することによりまして、課と事務局の組織を明確に分離し、本来業務が滞らないよう、その執行体制を確保しております。なお、次の感染症に備えますため、今国会で改正されました感染症法では、都道府県は、医療機関との間での病床確保に関する協定の締結、入院調整の方法や医療人材の確保等について、保健所設置市などと議論、協議を行う連携協議会の創設などに取り組むということとされましたことから、そのために必要な体制を確保してまいります。  次に、コロナ終息後の保健所体制とハード面の整備についてでございます。新型コロナ感染症のような新興感染症は、今後もいつどこで発生するか分かりません。そのため、陽性者の病状把握、入院調整、疫学調査、自宅療養者の健康観察など重要な役割を担う保健所は、新興感染症の流行の初期段階から速やかに機能できるよう準備をしておく必要があると考えます。先ほど述べました改正感染症法では、平時からの備えを確実に推進いたしますため、国の基本方針に基づき策定いたします都道府県の予防計画に、新たに保健所の体制の確保に関する事項を記載することとされました。新興感染症に対するハード面も含めた保健所の体制につきましては、本県のこれまでのコロナ対応を踏まえつつ、今後明らかになります国の基本指針の内容を見極めました上で対応してまいります。  次に、子供の貧困対策につきまして、県独自の子供の貧困の実態調査についてお尋ねがございました。子供の貧困の実態を把握するためには、貧困の世代間連鎖の観点から、子供だけではなく親の困窮状況についても把握する必要がございます。このため、一人親家庭の正規雇用の割合など親の生活実態を反映する十一項目を含め、二十六の指標によって子供の貧困の現状把握を行っているところでございます。また、県内に設置いたしております子ども支援オフィスの相談記録からは、相談者の方の世帯月収でありますとか困り事の内容、これに加えまして、子供への養育や不登校、ひきこもりなどの子供が抱える課題等を分析をいたしております。オフィスへの相談件数もコロナ禍において年間平均約千三百件と、コロナ禍前の約二倍に増えておりまして、オフィスの相談員が相談者の方から直接聞き取った記録を分析することにより、実態を把握できているものと考えております。引き続き、これらの指標、あるいは子ども支援オフィスの相談内容の分析に加え、今後は、町村部に限らず市部の実態も把握するため、県と市の自立相談支援機関の連絡会議の充実を図り、その中で相談内容を互いに共有し、施策の立案や充実に努めてまいりたいと考えております  子供の貧困対策の推進体制についてでございます。子供の貧困対策は、子供の現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、全ての子供が心身ともに健やかに育成され、その教育の機会均等が保障され、子供一人一人が夢や希望を持つことができることを目指しております。来年四月施行のこども基本法におきましても、子供の貧困対策は子供施策に必ず盛り込むべき要素とし、他の施策と相まって総合的かつ一体的に推進するとされております。県といたしましては、子供施策の推進につきまして、子供施策を一元的に策定、実施いたします、こども家庭庁及びこども家庭センターを設置して住民の皆様に総合的、一体的に子供施策を提供いたします市町村、これらのカウンターパートとして新たな課を福祉労働部に新設し、県内どの地域にあっても健やかな成長に対する切れ目ない支援が受けられ、子供の意見が尊重されることを推進することによって、子供真ん中社会を目指したいと考えております。新たに設置しますその同課におきましては、福祉労働部内をはじめ数多くの地域の社会資源とのつながりを生かしまして、医療、保健、福祉、教育、療育等の多分野にわたる県こども計画の策定の総合調整や、子供の貧困問題、家庭、学校以外の子供の居場所づくりなど、近年の子供を取り巻く新たな部局横断的な課題にも機動的に対応してまいります。  次に、子供の意見の反映についてでございます。当事者でございます子供の意見を反映するためには、例えば小中学校や子供食堂、児童福祉施設における意見交換でありますとか、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取などの方法が考えられます。子供が意見を言いやすい雰囲気や場を設定をいたしまして、子供の年齢に応じた聴き方を工夫することが必要になると考えております。今後、様々な環境、年齢の子供たちからどのように幅広く意見を吸い上げ、こども計画の策定に反映していくのがいいのか、その方法をよく検討してまいります。 12 ◯副議長(井上 博隆君) 冨永芳行君。 13 ◯八番(冨永 芳行君)登壇 御答弁ありがとうございました。引き続き質問をしてまいります。  保育所の安全な送迎バス運営に対する支援について伺います。昨年七月、福岡県中間市で五歳の男の子が送迎バスの車内に取り残され、熱中症で死亡した事件の裁判で、先月八日、福岡地方裁判所は、極めて基本的な注意義務を怠った過失は重いとして、業務上過失致死の罪に問われた当時の園長と降車補助を行った保育士に有罪判決を言い渡しました。当時、園では、慢性的な人員不足から日常的に園長が一名のみでバスを運行し、複数の園児を送迎していたこと、園児の乗降確認や園児の保育施設への引継ぎが適切に行われていなかったことが分かっています。福岡、静岡と立て続けに起きた通園バス置き去りの再発防止に向け、国は、来年四月から送迎バスに安全装置の設置を義務化し、その補助費用を二〇二二年度第二次補正予算案に盛り込みました。しかし、こういった保育所での事故は、慢性的な人員不足も原因の一つであり、安全装置の設置義務化のみでは根本的な解決にはなりません。四歳児以上の園児に対する保育士の配置基準は、一九四八年から七十年以上変わらず、他国と比較しても、日本は保育士一人が受け持つ子供の数が非常に多く、負担が大きいことが指摘されており、国には早期の改善を要望します。その上で、以下質問します。  まず初めに、本県において送迎バス等を運行している認可保育所は何園あるのか、その割合と併せて実態をお示しください。また、保育所での送迎バスの必要性についてどのようにお考えかお聞かせください。  これまでもバス運行については、園と保護者の私的契約による有償サービスとして、園にその運営が委ねられてきましたが、園独自の運営にも限界があると思います。安心、安全に子供たちを送迎するためには、行政の公的支援が不可欠です。しかしながら、現状の公的支援では、幼稚園や認定こども園の一号認定のうち、送迎を行う施設には、送迎バスの運転手の人件費を加算する通園送迎加算が公定価格に含まれますが、保育所、認定こども園の二号、三号認定にはその加算が含まれていません。保育所のバス送迎は、平成八年の厚生労働省通知において、保育所の設置場所等の地域状況を勘案して行ってもよいとされています。  そこで二点目に、送迎バスが運行されなければ保育所に通園できない園児、保育所を利用しなければ仕事や生活に支障が出る保護者もおられるのは事実です。そのような家庭が切り捨てられることがないように、保育所の送迎バス運行に対して県として何らかの支援を講ずるべきではないでしょうか、知事の考えをお聞かせください。  次に、下水汚泥のさらなる有効活用についてお聞きします。世界的な穀物需要の増加やエネルギー価格の上昇に加え、ロシアによるウクライナ侵略、円安等の影響により、化学肥料原料の国際価格は大幅に上昇し、その結果、肥料価格が高騰しています。このため、さきの九月定例会では、肥料価格高騰対策として県は二十二億九千万円余の補正予算を編成し、農業者を支援している状況です。  そうした中、現在注目されているのが下水道から排出される汚泥です。この汚泥には窒素やリンなどの栄養分が含まれることから、肥料化による農業利用に有効とされ、下水道資源とも言われています。また、二〇一五年に施行された改正下水道法において、発生汚泥の処理に当たり、肥料などとして再生利用するよう努めることが明文化されたところです。その後、国土交通省が二〇一七年八月に策定した新下水道ビジョン加速戦略では、重点項目の一つとして、ビストロ下水道と称し、下水道資源の農業利用を推進すべきと明記されています。また、佐賀市では汚泥の肥料化を二〇〇九年から開始しており、現在では発生汚泥の全量を肥料化する事業に着手しています。近年の肥料価格高騰に伴い、引き合いが急激に増えたとのことです。県内においても、下水汚泥ではないものの、大木町では浄化槽汚泥などを液肥化する事業を長年行っています。ただ、下水汚泥は、御存じのとおり様々な性質の重金属などが混入するため、その処理を適正に行うことが大切です。その上で下水汚泥を本県としても貴重な資源として活用することは、持続的な資源の循環や環境に配慮した農林水産業の推進といったSDGsや、本県が進めるワンヘルスの観点からも非常に重要ではないでしょうか。  そこで以下、知事に三点質問いたします。一点目に、本県が管理する下水道浄化センターの下水汚泥について、その処理の状況はどのようになっているのか、現状をお示しください。  二点目に、SDGsやワンヘルス、肥料の安定供給につながる下水汚泥の肥料化について、知事はどのように認識しているのかお聞きします。  三点目に、本県の下水汚泥についてこれまで以上に肥料化を促進するため、本県が管理する下水道浄化センターの下水汚泥のさらなる肥料化や、市町村等管理の下水汚泥の肥料化促進を県も支援することについて、知事はどのように取り組まれるのかお聞きします。  次に、教職員の働き方改革に資する公立学校の部活動指導の改善について教育長にお聞きします。教職員の働き方改革については、我が会派も度々教育長をただしてきました。特に部活動顧問への就任は、土日も含め多くの時間を割かれ、大きな課題であると指摘してきました。そのような中、教職員の働き方改革の一環として、部活動指導員制度が二〇一七年度から開始され、来年度からは休日における地域移行が段階的に開始されます。  そこで一点目に、部活動指導員及び休日の部活動の地域移行について、教職員の働き方の観点からどのように認識されているのかお伺いします。  次に、昨年十二月定例会代表質問において、我が会派の山本耕一議員が部活動指導員についてただした際、教育長は、県立学校においては配置が進んでいない学校に対して、地域のスポーツ指導者をホームページ上で紹介するスポーツリーダーバンクの積極的な活用や、大学との連携などを指導する。市町村教育委員会については、教育長会や指導主事研修会などで部活動指導員配置に関する好事例、優良事例について情報提供を行うとともに、配置していない市町村に対して個別の助言を行うと答弁されました。  そこで二点目に、この答弁に基づき、県立学校、市町村立学校において、部活動指導員の配置状況や取組はその後どのように進んだのか、それぞれお答えください。  三点目に、部活動指導員の役割は、大会や試合の引率、指導計画の作成など多岐にわたります。多くの現場では、それらを今も教員が受け持っている実態があると聞いています。県教育委員会として、必要な役割分担について改めて適切な指導を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。  さて、国の来年度予算案によると、中学校の部活動指導員の配置は現在の約二倍が見込まれているようです。当然、本県においてもさらにその配置を進めるべきだと思います。  そこで四点目に、県立学校においてはどのように増員していくつもりなのか、公立中学校においては市町村教育委員会をどのように支援していくのかお聞きします。  次に、公立中学校における休日の部活動の地域移行について教育長に伺います。本件についても、教職員の働き方改革につながるものとして、来年度より三か年で段階的に地域移行を目指すこととなっています。  そこで五点目に、休日の部活動の段階的な地域移行を市町村が円滑に進めるため、県教育委員会はどのように取り組んでいるのか、また今後どのように取り組んでいくのかお示しください。  さて、部活動の地域移行で必要となる多様な人材の多くは都市部に偏在しています。都市部ではない市町村や市町村教育委員会では、人材の確保競争が激しくなることも考えられます。どうしても確保できない公立中学校が出てくることもまた考えられます。  そこで六点目に、都市部ではない地域において、部活動の地域移行に向けた指導者の確保について、市町村域を越えた県教育委員会の支援、調整が必要と考えます。どのような支援や調整を行われるのか、方針をお聞かせください。  次に、偽電話詐欺対策について警察本部長にお聞きします。本県の偽電話詐欺の被害額は、二〇一七年の十二億四千万円をピークに、二〇二〇年には三億九千万円と大幅に減少しました。しかし、二〇二一年の被害額は七億六千万円であり、今年に至っては、六月までの半年間で、昨年同時期比で二・三倍の三億九千二百三十万円とさらに増加しています。福岡県警の発表では、被害者の全体の約八割が六十五歳以上の高齢者で、同様に被害者全体の約八割が女性とのことです。この偽電話詐欺は、老後の蓄えをこつこつとためてきた高齢者の預金を狙う卑劣な犯罪です。また、口座への振込や郵送、手渡しなどを被害者自身が行うことから、被害者が自責の念を強く持ち、場合によっては被害そのものを警察に言えないケースも多いとのことです。また、この犯罪は暴力団の資金源にもなっているとも言われ、暴力団撲滅を掲げる本県にとっても極めて憂慮すべきことだと思います。偽電話詐欺は、年末が最も被害が増加する時期でもあり、偽電話詐欺の撲滅に向け取組の強化を強く望む立場として、以下、警察本部長に三点お聞きします。  一点目に、近年の増加傾向について、その原因をどのように分析しているのか。また、この増加傾向に対して、県警としてどのような取組を行ってきたのかお聞きします。  二点目に、過去五年間の偽電話詐欺の検挙数について、被害状況と比較し、具体的にお示しください。また、その状況について警察本部長の認識をお聞きいたします。  三点目に、今後の体制強化についてお聞きします。兵庫県警には特殊詐欺特別捜査隊が本年九月に発足しており、同様の組織は愛知県警、大阪府警にも設置されているとのことです。現在、本県でもプロジェクトチームを編成し、対策に当たっていることは承知していますが、兵庫県警のように新たな隊を構築し、体制を強化すべきだと思います。この点について、警察本部長としてどのように認識し、今後どのように取り組むのかお聞きします。  最後に、私の地元糟屋郡におきます主要渋滞箇所対策と通学路の安全確保についてお聞きします。福岡県交通渋滞対策協議会は、糟屋郡内の八か所を主要渋滞箇所として公表していますが、このうち新宮町上府交差点を除く、志免町の五斗蔵、大的、須恵町須恵中央、粕屋町の扇橋、長者原、門松、大隈跨道橋の七か所が県道の交差点です。つまり糟屋郡では、県道の交差点で円滑な交通が阻害されており、県道の渋滞緩和が喫緊の課題であると強く感じています。私自身、毎日各交差点で清掃や街頭活動を行い、間近でその渋滞を目にしていますが、中でも粕屋町の門松交差点は、平日、休日、時間帯を問わず慢性的に渋滞し、ドライバーはもとより沿線住民の生活に大きな支障が出ています。一日も早いバイパスの開通と渋滞緩和を望むところです。  そこで一点目に、糟屋郡において県が管理する七か所の主要渋滞箇所に対する知事の認識をお聞かせください。その上で、門松交差点をはじめとした主要渋滞箇所対策にどのように取り組むのかお聞かせください。  コロナ禍で配送需要が急増し、楽天などの大型物流倉庫が糟屋郡内、とりわけ福岡インター周辺に相次いで建設されています。それに伴い、大型トラックの通学路への流入も増加しており、保護者の方や地域の方からさらなる安全対策の徹底などの要望をお聞きしています。特に、粕屋町の大川小学校横を通る県道伊賀仲原線は、通学路であるにもかかわらず、歩道がなく車道も非常に狭いため、傘を差すと車両と接触してしまうこともあります。また、同県道とJR香椎線が交差する伊賀踏切は、特異な形状で、踏切内に歩行者が通るスペースがなく、加えて踏切の前後で五方向から車両が進入してくるため非常に危険な踏切です。こうした状況に対して、地域の方や保護者の方が旗当番として子供たちの安全を守っておられますが、旗当番の大人たちもまた危険にさらされている状況です。警察による交通監視活動も実施されていますが、大型化、増加し続ける車両に対して効果は限定的であり、根本的な解決にはつながっていないと思います。  昨年六月の千葉県八街市の交通事故を受けて、県が学校、道路管理者、警察などと連携し、実施した通学路の緊急合同点検において、要対策箇所とされた県内二千三百六十五か所のうち千七百六十五か所については、本年三月末に対策が完了したことが公表されています。この対策は、学校、警察など関係機関等で対応した施策もありますが、大半は道路管理者のハード施策によるものと承知しています。  そこで二点目に、昨年の通学路の緊急合同点検後の県管理道路における対策の進捗状況をお聞かせください。その上で、県道伊賀仲原線の緊急合同点検を踏まえた現在の対策状況をお尋ねします。また、併せてこの路線の今後の抜本的な対策についてもお聞かせください。  以上、答弁をお願いいたします。 14 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 15 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  まず、保育所の安全な送迎バス運営に係りまして、送迎バス等を運行しております認可保育所の実態及び送迎バスの必要性についてお尋ねがございました。今年の九月に実施をいたしました調査では、九百三十七園中八十四園におきまして、バス等による送迎を行っておりまして、その割合は九・〇%となっております。保育所におけるバスの送迎は、保育所の設置場所などそれぞれの状況を踏まえ、保育外のサービスとして必要に応じて実施されているものと認識をいたしております。  送迎に関する公的支援についてでございます。核家族化の進展や共働き家庭の増加に伴いまして、子供を保育所に預ける家庭の割合は高くなっており、地域の交通事情などによっては、子供の送迎サービスが必要な方もいらっしゃると思います。県内の市町村では、国の補助制度を活用して通園バスの運営を行い、複数の保育所へ園児を送迎している例もございます。また、地域において育児援助を行いますファミリー・サポート・センター事業には、有償ボランティアによる送迎サービスもございます。今後、通園バスの利用実態や市町村の支援の状況などについて調査を行い、調査結果やただいま申し上げましたような支援制度につきまして、市町村あるいは保育所に対し、情報を提供してまいりたいと考えております。  次に、県が管理いたします下水道浄化センターの下水汚泥の処理状況についてでございます。県では、七か所の下水処理場を供用しておりまして、一日当たり約二百トンの下水汚泥が発生しておりますが、その全量を有効利用しております。その処理状況についてでございます。御笠川浄化センターは、下水汚泥の固形燃料化施設を持っておりまして、生成した燃料を火力発電所に売却し、その売却益を運営費に充てております。その量は、下水汚泥全体の約四四%に当たります。それ以外の下水汚泥は、産業廃棄物として処理料を支払って処理施設に引き受けてもらっております。その内訳は、セメント工場でセメント原料としているものが約三四%、肥料化施設で肥料の原料としているのが約二二%となっております。  下水汚泥の肥料化に関する認識についてお尋ねがございました。国におきましては、下水汚泥が燃料や肥料として利用が図られますよう、平成二十七年に下水道法を改正いたしました。これは、再生可能エネルギーの導入加速化や循環型社会の形成を目指す趣旨でございます。県といたしましては、下水汚泥の肥料化による廃棄物の削減や資源循環は、SDGsの目標の一つでございます、つくる責任、つかう責任や、ワンヘルス推進行動計画の柱の一つであります環境保護につながりまして、併せて肥料の安定供給にもつながるものと認識をいたしております。  この下水汚泥の肥料化の促進についてでございます。先ほど申しましたように、県の浄化センターにおきましては、下水汚泥が日々大量に発生をいたしますことから、これらを安定的に受け入れることが可能な大規模な肥料化施設が必要でございますが、現在、県内には一か所しかございませんで、受入れ可能量も限られております。今後も、当該の施設と緊密な協議を行って受入れ可能量を確認してまいりますとともに、そのほかの小規模な施設につきましても、受入れ可能量の動向を注視してまいります。市町村におきましても、下水汚泥の全量を有効利用しておりまして、全体の約一〇%が肥料の原料として活用されております。県といたしましては、実務担当者会議等におきまして、先進事例の紹介、あるいは情報交換を行ってまいりますとともに、今後市町村からの肥料化の促進に向けた相談に対し、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。  次に、糟屋郡内の主要渋滞箇所の対策についてでございます。糟屋郡内において県が管理いたします七か所の主要渋滞箇所は、交通量が非常に多く、慢性的に交通渋滞が発生しております。円滑な交通を確保するための対策が必要であると認識をいたしております。議員御指摘の門松交差点につきましては、渋滞緩和を図りますため、平成十六年度から筑紫野古賀線においてバイパス事業を実施しております。これまでにバイパス部分の工事をおおむね完了させ、現在はバイパスと現道を接続する工事を進めておりまして、早期供用を目指しております。その他の六か所におきましても、筑紫野古賀線、福岡太宰府線、福岡東環状線などにおいて、道路拡幅事業やバイパス事業を実施いたしております。今後も関係者の御理解をいただき、事業用地を確保いたしますとともに、国からの交付金などを活用した予算の確保に努めますことで、事業の進捗を図り、渋滞対策に取り組んでまいります。  通学路の緊急合同点検後の対策の進捗状況についてでございます。昨年度実施をいたしました通学路の緊急合同点検の結果、県内で対策が必要と判断いたしました二千三百六十五か所のうち、県が管理いたします道路におきましては三百十三か所ございます。このうち百六十七か所につきましては、路側帯のカラー化やガードレール設置など即効性のある対策を、国の補正予算等も活用しながら今年度末までに完了する予定でございます。残りの百四十六か所につきましては、歩道設置や交差点改良など用地買収を伴う抜本的な対策が必要となります。こういった箇所につきましては、早期完成を目指し、事業用地の取得に努め、速やかな工事の着手に取り組んでいるところでございます。引き続き、市町村や県警察などと連携し、通学路の安全確保に向け、必要な対策を着実に進めてまいります。  最後に、県道伊賀仲原線の安全対策についてでございます。本路線の沿線にはJR香椎線伊賀駅がございまして、住宅や店舗が密集しております。また、小学校や保育園が複数あるにもかかわらず、十分な歩道がなく、道路幅も狭い路線でございます。このため、これまでも地元と調整を行いながら、歩道設置などの安全対策を進めてきたところでございます。加えまして、昨年度の通学路の緊急合同点検では、県道と交差するJR香椎線伊賀踏切や小学校付近の四か所で、新たに即効性のある対策が必要と判断をいたしました。現在、この四か所について路側帯のカラー化など歩行空間の確保に向けて取り組んでおりまして、このうち一か所は既に完了いたしました。残り三か所につきましても、JR、県警察など関係機関と調整を行い、工事の準備を進めておりまして、今年度中には完了する予定でございます。また、本路線における今後の抜本的な安全対策につきましては、今回実施をいたしております対策工事が完了後の状況や地元の粕屋町の御意向も踏まえまして、その必要性について検討してまいります。 16 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
    17 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 部活動指導員の活用及び地域移行と働き方改革についてでございます。部活動指導員の活用及び休日の部活動の地域移行は、専門的な指導機会の確保や、子供たちにとって望ましいスポーツ環境の構築とともに、教職員の超過勤務縮減につながるものと認識をいたしております。  部活動指導員の配置状況及び取組についてでございます。県立学校につきましては、十一月現在、昨年同時期と同程度の百二校に二百六十五名が配置され、大学等と連携して学生を配置するなどの取組も進んでおります。また、市町村立中学校につきましては、十一月現在、二十三市町村に百三十四名が配置され、昨年同時期より増加をしておりますが、今後も人材確保方策の事例や配置による効果などについて情報提供を行ってまいります。  部活動指導員と教職員の役割分担についてでございます。平成二十九年の学校教育法施行規則の改正により、部活動指導員が部活動の顧問となることや単独で実技指導、大会、練習試合の引率などを行うことが可能となっております。このため、県立学校につきましては、競技の特性や部活動指導員の実績などを考慮し、できる限り業務を委ねるよう指導するとともに、市町村に対し、県立学校における実践例を周知をしてまいります。  県立学校における部活動指導員の増員及び市町村教育委員会への支援についてでございます。県立学校につきましては、部活動指導員の配置を始めた平成三十年度から段階的に人数を拡充し、国が目安とした一校当たり三名の配置が現在可能となっておりますが、学校規模や専門的指導者の不足などによりまして、部活動指導員の増員が必要な学校があることも認識をいたしております。このため、各学校のニーズを的確に把握し、望ましい配置の在り方を検討してまいります。市町村立中学校におきましては、未配置の市町村もありますことから、今後も引き続きスポーツリーダーバンクの充実や大学などとの連携によりまして、市町村における部活動指導員の活用を促進してまいります。  休日の部活動の段階的な地域移行に向けた県教育委員会の取組についてでございます。県教育委員会では、今年度、学識経験者や市町村教育委員会、スポーツ関係団体などの代表者によって構成する福岡県運動部活動改革協議会を設置し、県としての方向性を検討するとともに、年二回の部活動改革セミナーを開催し、関係者に対して情報提供に努めております。今後、国が改定をします部活動に関するガイドラインを踏まえ、市町村における円滑な地域移行を支援をしてまいります。  指導者の確保に向けた県教育委員会の支援についてでございます。県内の地域によりましては、競技経験や資格を有する専門的な指導者の確保が難しい状況があるというふうに聞いております。このため、指導者の確保が難しい市町村においては、その郡市の体育・スポーツ協会や各競技団体などと連携した指導者の発掘や、ICTを活用しました遠隔指導などの指導体制の整備が必要であると考えております。県教育委員会では、このような点を踏まえ、今後、知事部局や関係団体と連携し、まずは指導者確保や指導体制などについて助言できる人材を市町村へ派遣するなど、地域移行に向けた体制整備を支援してまいりたいというふうに考えております。 18 ◯副議長(井上 博隆君) 岡部警察本部長。 19 ◯警察本部長(岡部 正勝君)登壇 偽電話詐欺の近年の増加傾向についての原因と取組についてお答えを申し上げます。偽電話詐欺が増加している原因につきましては、様々な要素が複合的に影響しているものと考えておりますが、全国的に被害が増加している状況を踏まえますと、犯行グループが社会情勢等に応じて犯行手口を巧妙に変化させ、広域にわたって組織的に犯行を繰り返していることが増加の一因になっているものと認識しているところであります。こうしたことから、県警察におきましては、被害者の多くを占める高齢者と接する機会が多い自治体や民生委員などと連携して、被害に遭わないための各種予防対策を推進しているところであります。  次に、偽電話詐欺の検挙状況について、被害状況と比較してお答えを申し上げます。偽電話詐欺の被害状況については、平成二十九年以降減少傾向にありましたが、昨年より再び増加に転じ、本年は、十月末現在で昨年をさらに上回るペースで増加しています。一方、検挙に関しましては、被害の増減にかかわらず、毎年六十人前後の被疑者を検挙しており、本年十月末現在では、前年同期と比べ八人増え、暴力団構成員を含む五十三人の被疑者を検挙しているところであります。偽電話詐欺のさらなる抑止を図るためには、指示役などを検挙することが有効でありますことから、引き続き職務質問による現場検挙に加えて、犯行グループの中枢にいる被疑者の検挙に向けた突き上げ捜査を強力に推進してまいります。  最後に、偽電話詐欺対策の体制強化についてお答えを申し上げます。県警察における偽電話詐欺対策の体制につきましては、警察本部長を長とする特殊詐欺総合対策委員会を設置し、その実動部隊である特殊詐欺総合対策プロジェクトチームを中心として、組織全体で偽電話詐欺対策に当たっているところであります。県警察といたしましては、他府県の取組なども参考としながら、情勢に応じた組織体制の見直しなど必要な体制強化を検討してまいります。 20 ◯副議長(井上 博隆君) 冨永芳行君。 21 ◯八番(冨永 芳行君)登壇 それぞれ御答弁いただきありがとうございました。最後に、知事、教育長それぞれに要望させていただきます。  まず一点目に、下水汚泥の肥料化について。下水汚泥の肥料化については、その有効性と今後の肥料化に向けた取組について言及がありました。今後も世界情勢が変化する中、肥料価格の上昇は避けられないと思います。ぜひ肥料化の促進に向けて県のさらなる取組を要望いたします。  また、神戸市においては、下水汚泥からリンなどを回収する事業を始め、そのPRのため、肥料を市民に配布するイベントなども行っているとのことです。こういった下水汚泥の肥料化を本県が取り組んでいることについて、まだまだ県民への周知や理解は進んでいないと思われます。循環型社会の形成に向けた県民の理解促進のためにも、下水汚泥の肥料化に関するPRを行っていただくよう、併せて要望いたします。  次に、県立学校における部活動指導員の増員について要望いたします。教育長は、部活動指導員の増員が必要な学校があることは認識されているとのことでした。にもかかわらず、今後の各学校のニーズの把握や配置の在り方を検討するとの答弁にとどめ、増員そのものについて明言を避けてきたものと印象を受けました。我が会派は、教職員の働き方改革に資するためにも、部活動指導員の大幅な増員が極めて重要であると認識しています。望ましい配置の在り方を早急に検討し、県立学校の部活動指導員の増員を図るよう強く要望します。  併せて、市町村立中学校においては、県立高校に比べ、部活動を指導できる教員が少なく、部活動指導員の配置や休日の地域移行によって、教員の負担軽減により高い効果が出るものと思います。市町村立中学校の部活動指導員、休日の地域移行のそれぞれにおいて取組が大きく加速するよう、県が支援することを強く要望して、会派の代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 22 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の代表質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 三 時 二十一分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...